Journal of Computer Chemistry, Japan
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研究論文
サポートベクターマシンによる 高血圧治療薬のバーチャルスクリーニング
河合 健太郎高橋 由雅
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2010 年 9 巻 4 号 p. 167-176

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抄録

本研究では高血圧治療薬を例に, 化学構造のトポロジカルフラグメントスペクトル (TFS) を入力シグナルとしたサポートベクターマシン (TFS/SVM) による薬物活性クラス分類のバーチャルスクリーニングへの適応可能性を評価した. ここでは, 実用的見地からの評価をねらいとし, リリース年が異なる二つのMDDRデータベース (2001年版および2003年版) を用いた. 初めに, 2001年版のデータベースから取得したデータ集合 (訓練集合, 検定集合, 内部予測集合) をもとにモデルを構築し, その分類学習能力を検証した. モデルの構築に際しては作用機序が異なる種々の高血圧治療薬9503化合物に加え, 多数の負例化合物 (66521化合物) を用いて学習•検定•予測実験を試みた. その結果, 作用機序に関するクラスへの帰属を含め, 高血圧治療薬活性の有無を精度よく学習•識別できることが示された. 次に, 2001年版と2003年版の差分データを抽出し, 19387化合物 (高血圧治療薬396化合物, その他18991化合物) を外部予測集合としてバーチャルスクリーニングを実施した. その結果, これらが完全な外部集合であるにもかかわらず, 高血圧治療薬活性を有する化合物中158化合物の活性を正しく予測することができた.

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© 2010 日本コンピュータ化学会
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