論文ID: 2016-0014
水素原子のDirac方程式は厳密解が得られている.そのスピノルの形状を知ることは,重元素を含む分子での相対論効果を議論するうえで重要である.s, p, d, fの各スピノルは特徴のある形状をしているが,本論文の目的は電子密度の3D等値面図を図鑑にすることで各スピノルの特徴を一望できるようにすることにある.Schrödinger方程式の厳密解の図も併記しており,相対論では非相対論と比較して節が少なくなっていることが容易に見てとれる.Z = 100の<r > を計算し,その詳細を分析した.相対論的効果で<r > が減少するが,その効果は一様ではなく,s1/2とp1/2で大きい.描画と計算に用いたMathematicaノートブックは本論文とともに提供しており,改変可能な教材として利用できる.