抄録
化学工業での晶析プロセスの解析を行うために, 設計理論をもとにして, 表計算ソフトウェアMicrosoft Excelを用いた晶析操作特性因子の決定を行なうためのツールを開発した. 本ツールを用いて, 晶析現象の基本となる核発生速度および線成長速度を求め, 実プラントの2製品の晶析プロセスの経月変化とスタートアップを解析した. その結果, 製品X (硫酸化合物)では, ほぼ安定して結晶製品を製造できていることがわかった. 一方,スタートアップの解析を行なった製品Y (リン酸化合物)では, スタートアップ時の晶析現象を把握することができた. このように, 本ツールは晶析プロセスの操業データの蓄積および解析に有効であることが分かった.