比較臨床心理学研究
Online ISSN : 2760-2575
大学生におけるパーソナル・スペースの傾向
―目標人物の性別と空間的位置の影響―
顧 佩霊望月 宇
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ジャーナル オープンアクセス

2025 年 1 巻 1 号 p. 30-38

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抄録
本研究は,大学生のパーソナル・スペースに関して,相手の性別および空間的位置が対人距離の評価に及ぼす影響を検討することを目的とした。大学1年生を対象に,想定場面法を用いて,未知の男性または女性に対して「これ以上近づきたくない」と感じる距離を回答させた。その結果,男子学生・女子学生ともに,異性に対して同性よりも広いパーソナル・スペースを取る傾向が確認された。また,男子学生を対象とした分散分析の結果,目標人物の性別と空間的位置の組み合わせに有意な主効果が認められ,特に前方に配置された女性ターゲットに対して最も広い距離が取られる傾向が示された。一方,後方に位置する人物は心理的に近く感じられ,視覚的注意や可視性が距離知覚に影響を及ぼしていることが示唆された。これらの結果は,青年期初期の対人距離感において,異性への心理的緊張や社会的規範が空間認知を規定している可能性を示すものである。また,パーソナル・スペースは静的な空間ではなく,性差や状況要因に応じて変化する動的構造をもつことが確認された。本研究の知見は,大学生の対人関係理解や,対人援助職における非言語的配慮の教育にも示唆を与えるものである。
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© 2025 比較臨床心理学会
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