抄録
本研究は,中国の⼤学⽣を対象に,家族主義,パーソナリティ特性,および共感性の関連を検討し,南⽅地域および北⽅地域の⼤学に在籍する学⽣の⽐較を通して,これらの⼼理特性間の関連構造が地域によって異なる可能性を検討することを⽬的とした。調査対象は,南⽅地域の⼤学に在籍する学⽣ 97 名,北⽅地域の⼤学に在籍する学⽣ 60 名の計 157 名であり,質問紙調査を実施した。得られたデータについて,Pearsonの積率相関係数を算出した。その結果,パーソナリティ特性と共感性との間には,南北両地域で有意な正の相関が認められた。⼀⽅,家族主義と共感性との関連には地域差がみられ,南⽅地域では家族主義の規範的側⾯が複数の共感性因⼦と有意に関連していたのに対し,北⽅地域では有意な関連は認められなかった。以上の結果から,中国国内においても南北地域によって,家族主義,パーソナリティ特性および共感性の関連構造が異なる可能性が⽰唆された。