2018 年 6 巻 p. 7-17
本研究の目的は,高度認知症ケア実践者が,在宅認知症者の服薬支援において認識している課題と取り組みを明らかにすることである。高度認知症ケア実践者を対象とした質問紙調査を行い,自由記載で回答を得て質的帰納的分析を行った。
認識している課題として,受診について【家族の協力が得られず専門医の受診が継続されない】,処方では【医師に伝わる情報が不十分なため適切な量の薬物が処方されない】,服薬については【認知症者が服薬を拒否する】,作用・効果の評価では【副作用の発見が困難である】などが抽出された。また,服薬以外の課題を克服する取り組みはほとんど述べられておらず,在宅認知症者の尊厳と権利が脅かされやすい状況にあることが明らかになった。
薬物療法と意思決定能力の関係性について理解を促す家族支援や専門職による薬物療法に関する情報の共有,在宅認知症者の状態を的確に把握するためのインフラの整備等の必要性が示唆された。