抄録
本稿では,日本語らしさの評価方法の確立に向けた一試みとして,かな文字を遺伝子とする遺伝的アルゴリズムによるアナグラム文の自動生成方式を提案する.アナグラム文の生成には形態素解析やかな漢字変換の過程を含み,テンプレートや特定のキーワードを用いた定型的な文章生成方式の適用が困難である.そこで,ボトムアップ的にアナグラム文を生成することで学習が不要なシステムを構築する.本方式では文字や単語のN-gram統計を用いて共起関係を調べ,かな文字や形態素の接続性および単語間の意味的関連性を評価する.また,本方式は交叉や突然変異等の遺伝的操作を適用し,シェアリングを用いることで探索の多様化を行う.