抄録
筆者らの研究グループではこれまでに、迅速かつ簡易な細菌検出技術として誘電泳動現象とインピーダンス計測を組み合わせたDEPIM法を提案してきた。更に、高電界下での細胞膜破壊を利用したEPA-DEPIM法を開発し、懸濁濃度5×101cells/mLの大腸菌を3時間で定量的に検出することに成功している。本研究では、負の誘電泳動力を利用して細菌を濃縮し、DEPIM法における細菌捕集領域に進入する細菌数を増やすことでより高感度な細菌検出を目指した。ここでは、実際に実験を行う前に懸濁液の流れや電界によって作用する力による細菌の挙動を数値解析することで、負の誘電泳動を利用した細菌濃縮の有効性や最適な条件を検討した。