大日本窯業協會雑誌
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粘土器の可逆熱膨張性に就て (第十五報)
磁器素地並に釉藥の熱膨張性
吉岡 藤作
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1930 年 38 巻 450 号 p. 309-319

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抄録

高級磁器素地並に釉藥について可逆熱膨張性を測定し磁器が膨張性に示す特徴を知らんとせり、素地については原料より來れる石英が膨張問題の中心を成すものにして (1) 素地は概して至極低位にして、規則的なる膨張を營むこと、燒成不充分なるときは石英現象を呈し、熔質料不足の時にはクリストバライトートリヂマイト現象を示すこと、熔質料に不足無く燒成火度適當なるものは温度膨張關係は直線的にして其の係數は化學組成の相違に依り一定ならざるべきも一例を擧ぐれば0.0536程度なること、 (2) 素地の熱膨張性は燒成火度の進行につれ石英現變又はクリマストバライトートリヂマイト現象の消失と共に低下すること、 (3) 含有石英素地が強熱操作に依り表はす組織の破壊に歸因する孔隙率の増加及びムライトの生成に依る補強現象について實驗的知識より考察を與ふ。 (4) 釉藥は温度膨張關係は平滑にして軟化點は800°・前後のもの多きこと、熱處理又は緩冷状態の相違に依り失透に依る珪酸の分離析出の為めに膨張性に可なりの變動を來たすものなるを知る。

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© The Ceramic Society of Japan
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