大日本窯業協會雑誌
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硼珪硝子の耐水性に關する二, 三の實驗
(其1) 温水及び過熱水の作用に依る試驗法の比較考察
長枝 春平
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1940 年 48 巻 576 号 p. 556-559

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抄録

硼珪硝子の中, Na2O及びB2O3の含量少き硝子Aと反對に夫等に富む硝子Bに就て, 温水 (80℃) 及び (100℃) を作用さす常壓法とオートクレーヴで250℃迄處理した加壓法の實驗結果 (粉末法による重量減少及びアルカリ溶出量を求めた) を比較檢討した.
(1) 加壓法では, A硝子に就ては, 210℃迄は重量減少率及びアルカリ溶出量は共に遞減的過程を經るが夫以上の温度では急激に増加し, 硝子表層の異常變化の起る事を示す.
B硝子の如く極端にNa2O, B2O3に富むものは最初 (110℃附近) より分解が起り170℃では約70%の重量減少率を示し, 夫以上の温度では完全に崩壞して了つた.
(2) 100℃及び80℃温湯り作用による重量減少及びアルカリ溶出は時間と共に漸増的經過を取り, 加壓の如き突發的變化は無く緩漫にして作用力は弱い. 即ちA硝子では80℃, 10時間の作用は加壓130℃2時間の1/3の結果を示し, 殊にB硝子では23時間で漸く130℃2時間の重量減に相等くなつた.
(3) 80℃, 100℃の作用時間とアルカリ溶出量又は重量減少率の關係は, 耐水性過程に考察を加へて, 部分的に次の抛物線の式に從ふ事を認めた.
X2=c.t (X: アルカリ溶出量又は重量減少量, t: 作用時間c: 硝子及び實驗條件に關する恒數)
(4) 大體重量減少とアルカリ溶出量とが相比例して増減する事はB2O3溶出のNa2Oの夫に比例する事を推察せしめる.

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© The Ceramic Society of Japan
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