窯業協會誌
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硝子熔融用ルツボの侵蝕について (第2報)
森谷 太郎大河原 晋橘田 多里
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1951 年 59 巻 656 号 p. 56-60

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抄録

Na2O-ZnO-SiO2系硝子を蝋石坩堝内で熔融した場合に, 坩堝素地中に硝子が滲透して出來る坩堝侵蝕層の内部の, 硝子の平均屈折率勾配と, 侵蝕層に隣接している硝子 (侵蝕層より2.0-3.0mmの層内のもの) の平均屈折率勾配とが, 一般に侵蝕層表面で連續し, かつ屈曲した2本の直線に近似していることを確認した。更に, これより, 坩堝表面附近の熔融硝子の部分には, 厚さ2.0-3.0minにわたつて濃度勾配がほゞ直線に近い坩堝素地の擴散層があつて, 原料の硝子化する初期より以後の熔融期間全體を通じて比較的外部から擾亂をえられずに存在していることが推定出來る又熔融硝子の滲透によつて坩堝侵蝕層内の一部に, 坩堝素地と殆んど等しい化學組成の硝子が形成されたものと假定して計算したその硝子の屈折率値は, 坩堝侵蝕層内の硝子が實際に有する屈折率範圍の下限値に近くなつている。
本研究の試料製作にご畫力下さつた岩城硝子株式會社佐藤實, 旭硝子株式會社宇野達路の兩氏に心からお禮申上げます。又, 本學助教授山田久夫氏の懇切なご協力に對し深く感謝致します。

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© The Ceramic Society of Japan
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