窯業協會誌
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軽量骨材の研究 (第2報)
第2報: 軽量コンクリート
近藤 連一
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1953 年 61 巻 689 号 p. 544-548

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抄録

最近建築方面で隆盛に向いつゝある軽量コンクリートの骨材について調べ, 工業材料としての天然原料処理法, 人工的に製造される場合有すべき性能等について論じた。
1) ある強度の軽量コンクリートにおいて, その強度と比重を考慮して骨材の価値を求める計算式P=k/d-Pcb/aを与えた。但しP: 骨材価格, k: 常数, d: コンクリート比重, Pc: セメント価格, b: セメント所要量, a: 骨材所要量
2) 構造用軽量コングリート骨材として焼成蛭石を標準にすれば大体焼成真珠岩1.9倍, 軽石1.0倍, 珪藻土0.2倍位の価値となる。
3) 断熱級軽量コンクリートではワーカビリテイが不足しやすくAE剤又は適量の細粒部分が必要である。
4) 焼成真珠岩で圧縮強サ300kg/cm2以上で比重1.4程度の鋸で容易に切断できるコンクリートができる。純白色なので白色セメントと組合せ, いろいろの用途が考えられよう。
5) 焼成蛭石を用いたコンクリートは鋸引性, 釘打性が良く荘重華麗な色調を有するので効果的な利用の途があろう。
6) 較石, 珪藻土のような天然の材料は粒度や容重等の一定した工業材料とせねばならない。両者共特に前者は優れた断熱級コンクリートをつくつることが可能である。珪藻土を用いたコンクリートは乾燥収縮が大きいので, 骨材の熱処理が必要であろう。
7) 収縮による亀裂を防ぐため軽量骨材の材質, 粒度分布は適当なものでなければならず, 練りまぜ前に充分骨材は吸水させて置く必要がある。
8) 膨脹スラグ, 焼結スラグ, 焼成粘土, 焼成蛭石, 焼成真珠岩等の新しい軽量骨材製造工業が発展するには窯業方面の協力が望まれやう。
本発表に關し親しく御指導並に校閲を賜つた山内俊吉教授に厚く感謝の意を表する。

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© The Ceramic Society of Japan
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