窯業協會誌
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リチアセラミックスの諸性質に及ぼすリチア含有ガラス添加の影響
Li2O-Al2O3-SiO2系セラミックスの研究 (第1報)
田代 仁牧 俊夫
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1962 年 70 巻 793 号 p. 102-110

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抄録

種々のLi2O-Al2O3-SiO2系結晶原料, すなわちLi2O・Al2O3・2SiO2 (ベータ・ユークリプタイト), Li2O・Al2O3・3SiO2, Li2O・Al2O3・4SiO2 (ベータ・スポジュメン) およびLi2O・Al2O3・8SiO2 (ペタライト) の組成の結晶粉末を骨材とし, その各々にLi2Oを含む種々の珪酸塩ガラスを, その含有率が5, 10, 20%となるように混合し, プレス成形した後に, それらの試料を種々の温度で加熱して, 先ず変形度を調べ, ついでこれら焼成試料の吸水率, 曲げ強度の測定, 急熱急冷試験, 組織の顕微鏡観察, X線分析などを行なった. その結果,
1. ペタライトを骨材とする場合は, リチア含有ガラスの添加により試料の焼成温度範囲は最大40℃となり, 焼成試料の曲げ強度は最大650kg/cm2となった (ペタライトのみの場合は約300kg/cm2). またリチア含有ガラスを10%含有させて焼成した試料 (形状寸法5×5×50mm) は1000℃から室温の水中に急冷を繰返しても強度の低下はなかった. 他のLi2O-Al2O3-SiO2系結晶原料を使用したものはガラス添加の効果は小さかった.
2. ペタライトに混合するのに適当なガラスの組成は, Li2O含量4-20%, SiO2含量50-90%であり, 混合量は5-20%が適当であることを認めた.
3. ペタライトとリチア含有ガラスとの混合試料の焼成過程, 磁器化範囲が広くなる理由, 機械的強度および耐熱衝撃抵抗性の向上の理由などについて考察を加えた.

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© The Ceramic Society of Japan
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