窯業協會誌
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紫外線により発生するガラス中の応力の波長依存性
紫外線照射によるガラス中の応力発生 (第12報)
大岡 一夫岸井 貫
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1968 年 76 巻 877 号 p. 305-306

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抄録

紫外線透過率がたがいに異なる数種のガラスフィルタを光源との間に入れて, 3種の商用硼珪酸ガラスを紫外線で1,000時間照射した. 照射された面に発生した応力は, 使用したフィルタの220mμにおける透過率とほぼ比例した. それゆえ, 220mμあるいはそれ以下の短波長の光が応力を発生させると考えられる. この波長域の光は, 厚さ0.2mmのガラスでほとんど吸収される. それゆえ, 光子エネルギーを吸収することと, そのエネルギーがあるしきい値を超えるごととが反応開始に必要であるという, 光化学の基本原則はこの場合にも満たされている. また, 220mμは5.7eVの光子エネルギーに相当するので, 上記の実験結果は, 応力発生過程は非架橋酸素イオンの励起 (必要な最低エネルギーは4.5eV) またはイオン化 (必要な最低エネルギーは5.5eV) から始まるという, 著者らの提出した仮説とも適合している.

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© The Ceramic Society of Japan
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