1973 年 81 巻 933 号 p. 197-202
単結晶MgOと単結晶Al2O3間の, 接触の状態を定量的に測定した固相反応を行ない, 反応層の配向とその組織が, 反応初期の接触状態により, どのように影響されるかを実験した. スピネル層はAl2O3に固着した形で生成し, 組織・配向の異なる2種の層から成るが, その一方のMgO側反応層は, 接触の良い時にはMgOに配向し, 接触の悪い時にはAl2O3に配向した. 接触の良い状態とは, 結晶間のギャヅプが約0.5μ以下のことであった. これによって, これまで研究者によって配向についての異なる結果が, 出ていたことが説明された. このように, 固相反応においては, 接触の良悪によって種々の現象が異なる可能性のあることがわかった.
さらに, 反応初期の異なった時点での反応層の組織を走査型電子顕微鏡によって観察し, スピネルの結晶成長の機構を推論した.