窯業協會誌
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酸化物系ガラスの転移領域での粘性
鈴木 傑小林 種雄高橋 実今岡 稔
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1981 年 89 巻 1029 号 p. 252-259

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抄録

酸化物ガラス中, 3, 2, 1次元ネットワーク構造をもつ, B2O3-GeO2系, P2O5・(MO or M2O) ガラス及び修飾イオンにより次元構造を変えるSiO2-Na2O, B2O3-Na2O系ガラスを選び, 圧縮法により転移温度付近での粘性流動を調べ, その活性化エネルギーと粘性流動のメカニズムを検討した. 活性化エネルギーは, GeO2, SiO2のような3次元ネットワーク構造では, ネットワークを形成するGe-O, Si-Oの結合エネルギーに近い値をとり, 2次元ネットワークのB2O3ではB-O結合エネルギーよりも低く, 鎖状構造のメタリン酸塩ガラスは, P-O結合エネルギーよりもはるかに大きな値をとった. またSiO2-Na2O, B2O3-Na2O系ではNa2Oとともに増加した. ガラス転移領域での粘性流動は面でのすべりが主であると考えると, (1) 3次元ネットワークでは結合の切断, (2) 2次元ネットワークでは層間の状態, (3) 修飾イオンが入ると層間での接触点が増し, すべりの摩擦抵抗が増え, 重要な影響を与えると考えられる.

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© The Ceramic Society of Japan
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