窯業協會誌
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ガラス溶解窯の耐火物侵食におけるアルカリ成分の挙動
加藤 紘一
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1981 年 89 巻 1036 号 p. 643-649

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抄録
耐火物にとって侵食とは, 使用される環境条件に対して平衡状態に至る過程であると見なし, その過程の特徴について検討した.
板ガラス溶解窯の上部構造で使用された耐火物について, 表面侵食相の分析を行い, Na2O濃度に着目して見るとこれらはほぼ一定値を示し, Na2Oの吸収だけが侵食相組成における本質的変化と見なされた. したがってこのような耐火物の侵食における化学的変化を考えるには, 耐火物表面部を一つの系と見なし, 系はアルカリ成分についてだけ開かれ, 他の成分について閉ざされているものと近似した上で平衡状態を考えればよく, 系に含まれるアルカリ量は環境中の同成分濃度 (化学ポテンシャル) によって決まるものと考えられた.
溶解ガラスによる耐火物の侵食についても, 界面に生ずる侵食相の組成を調べると, Na2O濃度はほぼ一定値を示し, ガラス中の同成分濃度との間でほぼ平衡状態にあるものと推定された. ただしこの場合は, 特に高温下においてはCaOなどの影響も無視することはできなかった.
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© The Ceramic Society of Japan
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