窯業協會誌
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Al2O3-ZnO系固体反応速度に対するAl2O3の集合状態の影響
横山 千鶴川上 浩橋場 稔三浦 英二塗師 幸夫日比野 泰三
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1983 年 91 巻 1060 号 p. 525-536

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抄録

異なった調製履歴をもつZnO-Al2O3系微粉混合物を用いて, ZnAl2O4生成反応に対する反応工程因子の影響を研究した.
Al2O3の原料としてAlcoa A-16SG (以後A1と呼ぶ), あるいはそれを粒径約40μmの顆粒状に噴霧乾焼したもの (以後A2と呼ぶ), 一方ZnOの原料として平均粒径約0.3μmの試薬ZnO微粒粉体 (以後Z1と呼ぶ) あるいはそれを粒径約82μmに焼結, 造粒したもの (以後Z2と呼ぶ) を用いた.
上記4種の原料を組み合わせ, 混合方法をかえ, 次の5種類のZnO-Al2O3混合物を調製した.
試料 No ZnO原料 Al2O3原料 混合法 I Z2 A2 V型混合機 II Z1 A2 V型混合機 III Z1 A1 らいかい混合 IV Z1 A1 湿式らいかい混合 V Z1 A1 振とう混合
800°-1200℃で試料を加熱し, 反応率を温度及び組成の関数として測定した. また走査型電子顕微鏡 (SEM) 及びエネルギー分散型X線アナライザー (EDX) による微細構造の観察及び分析を行った.
ZnAl2O4の生成率は, 試料中の微粒Al2O3が集合体を形成している試料IあるいはIIの場合, α=(S0/ZnOあるいはAl2O3のモル数)f(t)・√k'tdZA/MZAで表わされ, 次の4つの因子により変化することが分った.
(1) (S0/ZnOあるいはAl2O3のモル数): 単位量のZnOあるいはAl2O3当たりの反応物集合体間の初期接触面積.
(2) f(t): 初期接触面積に対する反応面積の割合.
(3) x: Al2O3集合体の周りに生成したZnAl2O4層の厚さで, x2=k'・tに従って成長する. k'は試料の組成に存在しない.
(4) dZA/MZA: ZnAl2O4の式量に対するAl2O3集合体中に生成したZnAl2O4の密度の比.

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© The Ceramic Society of Japan
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