1985 年 93 巻 1084 号 p. 781-785
2価イオンを含むアルカリアルミノケイ酸塩ガラスの内部摩擦をねじり振動の自然減衰法で測定した結果, ピークが2か所で観察された. 低温側に現れるピークは単一アルカリ系でみられる低温ピークと同じもの, すなわちアルカリイオンの動きによって生じるものと断定できる. 一方高温側に現れるピークは, 混合アルカリ系でみられる混合カチオンピークと類似のピーク挙動を示すことから, アルカリイオンと2価イオンの共存によって生じる相互作用に基づいて現れる混合カチオンピークであり, その緩和機構は混合アルカリ系の混合カチオンピークの緩和機構と基本的には同じものであると考えた. また両ピークには, 一方が高くなれば一方が低くなるという密接な相関関係が認められた. このことから両ピークの緩和機構には共通の緩和要素, すなわちアルカリイオンが関与していると推察した.