Journal of Chemical Software
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非線形等温線に基づくクロマトグラフィーのシミュレーション:二重壁容器モデル
菅田 節朗阿部 芳廣
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2000 年 6 巻 4 号 p. 127-136

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抄録

過去に、非線形等温線の形とクロマトグラムの形との関係をよりよく理解するためのガラス容器を用いたモデルを発表した。今回は、このモデルのコンピューターシミュレーション化を行った。その際、各段の固定相と移動相の関係を実際的イメージに近づけるなど改良した。この新モデルを「二重壁容器モデル(DGVモデル)」と名づけた。 DGVモデルは、もともと液-液分配クロマトグラフィーからイメージしたが、各液相中で溶質分子のみ集めた架空の状態(以下溶質と表現し、液体とみなす)をイメージし、この溶質が内室(固定相)と外室(移動相)に分配されると考える(溶媒分子は無視する)(Figure 1)。底に近い内壁には小さな穴があいており、内室と外室の液面は同じ高さになる(平衡状態)。内外壁とも円筒形だと線形等温線を表し、内壁は円筒形だが外壁がラッパ型だとラングミュアー型の非線形等温線を表す(Figure 2)。各段の外室内溶質の一斉移動と平衡が繰り返されて、溶質が各段に分配される(Figure 3および Figure 4) 。これらの図から非線形等温線の形とクロマトグラムの形との関係が直感的に理解できる。線形では、キャパシティファクターk'が小さいほど大量の溶質が運ばれる、つまり移動速度大なので、クロマトグラムの保持時間が短くなるのが直感的に分かる(一つのバンド内では、均一速度)。また、線形を基礎に非線形を考えると、たとえば凸型だと、バンドの中央で移動速度大なので、クロマトグラムはテーリングするということが容易に理解できる。

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