抄録
斜面崩壊を引き起こす要因のひとつに降雨がある。降雨が土-ジオグリッド系の補強土の安定性にどのような影響を与えるのかを明らかにすることは,降雨時の補強土構造物の安定性を評価する上で,重要である。本研究は,このような観点から実施された。具体的には,湿潤条件下での土-ジオグリッド系補強土の引抜き挙動について実験的な検討がなされた。最初の取り組みとして,浸潤過程を模擬できる試験装置を作製し,浸潤を受けた条件下での砂とジオグリートの引抜き抵抗と水平変位の関係を示している。結果として、飽和した補強砂の引抜き抵抗は、湿潤した状態と比べると、10%以上低下する可能性のあることを示した。今後,締固めの程度と引抜き抵抗挙動について詳細に検討することの必要性を述べている。