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松島 健一, 呉 博凱, 毛利 栄征, 龍岡 文夫
2008 年23 巻 p.
15-22
発行日: 2008年
公開日: 2008/12/13
ジャーナル
フリー
土の一様なひずみに起因する補強材引張力は常に補強材面に沿った摩擦力が作用するが,不連続な変位に起因する補強材引張力は摩擦力だけでなく補強材面に垂直な力が土に作用する.直接せん断(DS)試験では土のひずみよりも不連続な変位に起因する引張り補強効果が強度発現の主因となるため,土の摩擦力との釣合いを基本とするせん断強度の推定式では試験結果をうまく説明できない.そこで,本研究では,不連続な変位場で表れる力の釣合いをモデル化したせん断強度の推定式を提案し,補強土のDS 試験結果と比較した.その結果,提案式では引張力の発達分布の違いによる補強効果の差を表現でき,せん断強度を適切に評価できることがわかった.
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錦織 大樹, 相馬 亮一, 相澤 宏幸, 平川 大貴, 龍岡 文夫
2008 年23 巻 p.
23-30
発行日: 2008年
公開日: 2008/12/13
ジャーナル
フリー
新形式構造であるGRS 一体橋梁(Geosynthetic-Reinforced Soil Integral Bridge)の模型振動台実験の結果によると、その耐震安定性は壁面工背面に定着したジオテキスタイル補強材の引抜け抵抗が増加すると増加する。本研究では、種々の高分子材料のグリッド状補強材と模型実験で用いた人工的な補強材であるリン青銅のグリッド状補強材を用いて土中引抜き試験を行い、砂盛土からの引抜け特性を比較検討した。その結果、補強材の引抜け抵抗は、異なった拘束圧下において、①補強材表面での摩擦抵抗 (面内配置密度×表面摩擦) 、及び②横材前面での受動抵抗 (横材厚さ×横材本数) に依存することが分かった。また、この両者の影響を表現する経験式を導いた。この式によれば、補強材表面の摩擦抵抗と横材前面の受働抵抗の増加によって引抜け抵抗はある一定値までは線形的に増加するが、それ以降の増加による増加は殆どないことが分かった。
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張 鈞, 安福 規之
2008 年23 巻 p.
31-36
発行日: 2008年
公開日: 2008/12/13
ジャーナル
フリー
斜面崩壊を引き起こす要因のひとつに降雨がある。降雨が土-ジオグリッド系の補強土の安定性にどのような影響を与えるのかを明らかにすることは,降雨時の補強土構造物の安定性を評価する上で,重要である。本研究は,このような観点から実施された。具体的には,湿潤条件下での土-ジオグリッド系補強土の引抜き挙動について実験的な検討がなされた。最初の取り組みとして,浸潤過程を模擬できる試験装置を作製し,浸潤を受けた条件下での砂とジオグリートの引抜き抵抗と水平変位の関係を示している。結果として、飽和した補強砂の引抜き抵抗は、湿潤した状態と比べると、10%以上低下する可能性のあることを示した。今後,締固めの程度と引抜き抵抗挙動について詳細に検討することの必要性を述べている。
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グエン ホアン・ジャン, 桑野 二郎, 井澤 淳, 関 栄
2008 年23 巻 p.
37-44
発行日: 2008年
公開日: 2008/12/13
ジャーナル
フリー
引抜き抵抗に対しては縦方向部材よりも横方向部材の影響の方が大きいと考えられる。本研究においては、長方形と円形の開口部を有するジオグリッド模型およびシートを用いて、除荷-再載荷過程を含む引抜き試験を豊浦砂について実施した。その結果、2 種類のジオグリッドおよびシートの何れの場合も、ピーク時および残留時において、除荷―再載荷後の引抜き強度は低下した。特に長方形開口部を有するジオグリッド模型では、引抜き強度の低下が著しいとともに、引抜きに伴う引抜き抵抗の変化がやや不安定であった。さらにこのタイプのジオグリッド模型では、円形タイプやシートタイプと比べてピーク値に至る引抜き量が大きかった。そのような引抜き特性が得られた理由を考えるため、PIV 法によりジオグリッド周辺の模型地盤の変形を観察したところ、横方向部材が引抜き特性と大きく関係していた.
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木幡 行宏, 島谷 文卓, 弘中 淳市, 平井 貴雄
2008 年23 巻 p.
45-50
発行日: 2008年
公開日: 2008/12/13
ジャーナル
フリー
ジオテキスタイルの見かけの開孔径は,ジオテキスタイルの透水性能や,目詰まり量などに密接に関係する物性値である。しかし,現段階において,その見かけの開孔径を測定する試験方法の優劣や問題点の評価については,国際的な議論がなされていないと考えられる。本研究では,地盤工学会の新基準案である湿式開孔径試験と,地盤工学会の旧基準案である「ジオテキスタイルの見かけの開孔径試験方法」の繰返し水浸式開孔径試験を実施し,各試験から得られる開孔径,試験方法の改善点,及び開孔径の理論値との比較について検討を行った.その結果,各試験方法の改善点,及び湿式開孔径試験と繰返し水浸式開孔径試験が理論値に近いことが導かれた.
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三井 仁哉, 原 健二, 三宗 桂司, 蔡 鍾吉, 澁谷 啓
2008 年23 巻 p.
51-58
発行日: 2008年
公開日: 2008/12/13
ジャーナル
フリー
近年頻発する豪雨災害に対して,プラスチック・ドレーンなどのジオシンセティックス排水材(以下,GS排水材とする)を効果的に配置した盛土構造物を構築することを試みている.盛土内でGS排水材を使用する場合,土中での目詰まり現象1)や盛土荷重による通水断面の減少によってその面内方向通水性能は低下するため,土中での通水性能の適切な評価は工学的に重要であり,その排水能力の変化を考慮した現場設計は極めて重要となる.そこで,本研究は,特に土中での排水材の断面形状の変化に着目して,地盤工学会基準案の面内方向通水性能試験(JGS T-932)に準拠した試験装置を利用し,粒形の異なる3種類の土を用いて排水材の上下を土で挟み込み,土中を模擬したGS排水材の面内方向通水性能の変化を評価した.
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日野 貞義, 宮田 喜壽, 平川 大貴
2008 年23 巻 p.
59-62
発行日: 2008年
公開日: 2008/12/13
ジャーナル
フリー
固化土の脆性的な力学特性をジオグリッドで補強する技術について検討した.固化処理地盤では養生と圧密が同時に生じているという推察に基づき,水中養生が短く圧密時間が長いケースと,水中養生が長く圧密時間が短いケースで,補強供試体と無補強供試体の強度を比較した.実験の結果,補強効果は,圧密条件の違いに関わらずみかけの粘着力として現れ,水中養生が短く圧密時間が長いケースの強度が大きくなることが明らかになった.
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後藤 幸司, 小島 謙一, 舘山 勝, 谷口 秀和, 高橋 徳
2008 年23 巻 p.
63-68
発行日: 2008年
公開日: 2008/12/13
ジャーナル
フリー
従来,補強土擁壁には,コンクリート構造による壁面工を適用してきた.近年では社会情勢から,このような構造物においてもコスト縮減や環境負荷低減が強く求められるようになってきている.特に景観については周辺環境との調和の問題などもあり,緑化に対する要望は高い.これらの要求に応えつつ,施工性の向上も考慮した補強土擁壁の壁面工として高強度でかつセメントとの付着性の高いビニロンを用いた長繊維混入補強土の適用について検討を行った.本論文では,長繊維混入補強土を盛土補強土壁や地山補強土壁の壁面工として用いる際の強度・変形特性を把握するために,地山補強土壁の補強材接合部における部材耐力評価のための引抜き試験や,壁面工としての部材耐力を評価するための実物大盛土補強土壁による載荷試験を行った.
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小川 敦久, 伊勢 智一, 谷口 秀和, 小島 謙一, 後藤 幸司, 舘山 勝, 田村 幸彦
2008 年23 巻 p.
69-74
発行日: 2008年
公開日: 2008/12/13
ジャーナル
フリー
長繊維混入補強土を用いた吹付け施工による壁面工において,壁面を構築する際には混合土と長繊維が均一に混合されなければならない.そこで本研究においては、施工性の観点を中心に、補強繊維に関する実験的研究を行った.長繊維は吹付けノズル先にて混合土と混合するため、長繊維の太さ、曲げこわさも、それぞれあまり大きい場合には均一な混合状態が得られず、これらも好適な範囲が存在することが明らかになった.繊維種類に関しては、セメント混合土を用いることから、セメントとの親和性に優れ、弾性率、強度の高いビニロンを中心に検討した結果、施工条件については検討の余地を残すものの、従来の吹付け機を用いて、従来と同等の吹付け施工に適用することが可能であることが明らかになった.
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X線CTの適用
島田 里美, HEMANTA Hazarika, 大谷 順, 菊池 喜昭
2008 年23 巻 p.
75-82
発行日: 2008年
公開日: 2008/12/13
ジャーナル
フリー
現在、ケーソンと裏込め材の間に古タイヤのリサイクル材であるタイヤチップを配置し、土圧・水圧の軽減につなげる新しい抗土圧工法の開発が進められているが、地盤材料としてのタイヤチップの力学特性については未解明な点が多くある。そこで本研究では、タイヤチップ供試体、硅砂3号供試体及びそれらを層状に設置した二層供試体を対象としてX線CTを連動させた一面せん断試験を行い、せん断時における内部挙動の観察を行った。そして、実験から得られたCT画像をもとに、PIVを用いて粒子の移動を求め、これらを用いて変位ベクトル、せん断ひずみ分布を算出し、地盤材料としてのタイヤチップの力学的挙動の解明を行った。
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ハザリカ ヘマンタ, 安原 一哉
2008 年23 巻 p.
83-88
発行日: 2008年
公開日: 2008/12/13
ジャーナル
フリー
タイヤチップ(タイヤ由来の地盤材料)を混合して補強した護岸裏込め砂質土の液状化低減に関する1g 振動台模型実験を実施した。模型実験装置の下部から水平に正弦波の振動荷重を土・構造系に負荷して、ケーソンに作用する水平土圧、それに伴うケーソンの変位、および裏込め土における過剰間隙水圧を測定した。実験結果から、タイヤチップで補強した複合裏込め材の比重がきわめて小さいにもかかわらず、裏込め土は液状化しないことがわかった。さらに、護岸壁の土圧と残留変位を大幅に低減することができた。これ等のことから、地震に対して土・構造系は良好な性能を発揮することが明らかになった。
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菊池 喜昭, 佐藤 宇紘, HAZARIKA Hemanta
2008 年23 巻 p.
89-94
発行日: 2008年
公開日: 2008/12/13
ジャーナル
フリー
タイヤチップを岸壁などの裏込めに用いることで構造物に作用する土圧を低減できることが知られている.しかし,タイヤチップ集合体は圧縮性が高く,変形しやすいことが難点として上げられており,現在は,タイヤチップと砂を混合させて用いることが検討されている.本研究では,砂,タイヤチップ集合体,ゴム球集合体の排水三軸圧縮試験を行ない,三軸圧縮時のタイヤチップ集合体の圧縮性,せん断特性とタイヤチップ粒子の変形特性について検討した.特に,ゴム球集合体の三軸圧縮試験については,圧縮せん断中の供試体内部の変形状態についてX線CT装置を用いて観察し,せん断特性と内部構造の変化及び粒子変形の関係について考察した.
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立花 大地, 對馬 匠, 金子 賢治, 堀江 征信, 熊谷 浩二
2008 年23 巻 p.
95-100
発行日: 2008年
公開日: 2008/12/13
ジャーナル
フリー
ジオセルとは連続的・周期的なセル(高密度ポリエチレン(HDPE)樹脂製の枠)内に充填材を充填し,これを積み上げることにより強度を発揮する構造体である.この工法はHDPEと充填材(地盤材料)からなる非均質な構造体であるため力学的挙動・特性は明らかになっていない.著者らはこれまでに,ジオセル補強土の基礎的な特性や充填材の力学挙動に与える影響,実スケールにおける長期変形計測等を行ってきた.しかしながら,地震荷重に対する検討は十分に行われてはいない.本研究では,ジオセル補強土壁の振動台実験を行って,地震時の安定性に関する検討を行う.
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橋本 和佳, 小島 謙一, 礒野 純治, 米澤 豊司, 丸山 修
2008 年23 巻 p.
101-106
発行日: 2008年
公開日: 2008/12/13
ジャーナル
フリー
九州新幹線熊本車両基地は,熊本平野の極めて軟弱な粘性土が厚く堆積する地盤上に盛土構造で建設中である.当該地は圧密沈下による周辺構造物や地中構造物への影響が懸念されており,その対策としてプレロード工法と気密シートやプラスチックドレーン等のジオシンセティックスを用いた真空圧密工法の2種類の圧密促進工法を採用している.圧密促進工法の採用にあたっては,施工前に試験盛土を実施し,効果の確認を行うとともに,その結果を有限要素法に反映し事前予測を実施している.本研究は,実施工から約1年間にわたる実測データを基に,施工工程等を見直してフィードバック解析を実施し,これまでに検討してきた真空圧密工法のモデル化などの妥当性を検証した.
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岡村 昭彦, 倉田 正博, 北本 幸義, 吉田 輝
2008 年23 巻 p.
107-112
発行日: 2008年
公開日: 2008/12/13
ジャーナル
フリー
格子ジャケットを用いたシート工法は,筒状織物に流動性の高いモルタルを充填して格子状の補強枠を形成する表層安定処理工法で,格子構造が荷重分散効果を有し,軟弱地盤上に施工することで不同沈下の抑制が行える.これまでに水田上におけるトラフィカビリティーの改善実験や鉄道路床の試験施工,および河川護岸工事における短期間の仮設道路としての使用などの実績がある.本報告では深さ10m近くまでN値の低い地盤が堆積している軟弱地盤上に一般道路の仮設道路として施工した例を紹介すると共に,使用期間が1年以上と比較的長期にわたるため,追跡調査を行い施工後の状況について詳細調査を行った結果を報告する.
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吉田 眞輝, 小林 洋文, 荒川 源臣, 奥村 久雄
2008 年23 巻 p.
113-118
発行日: 2008年
公開日: 2008/12/13
ジャーナル
フリー
斜面災害には様々な形態があるが,土石流や地すべりなど大規模災害を除くと,その多くは表層崩壊の土砂崩れや落石災害などが占めている.これらの災害による被害を防止するために各種対策が実施されている.高エネルギ-吸収柵や斜面覆い工などのネットやロ-プを使用した対策工では金網やワイヤ-などの鉄製品が多く1)繊維部材が用いられている例は仮設や設計外力の少ない対策以外ではほとんど見受けられない.鉄部材は重量物であり斜面上の施工に弊害があるという問題点に対し,軽量でしなやかな繊維部材は斜面上での施工に適していると考えられている.しかし使用頻度が少ない要因としては対策工の信頼性や耐久性に不明確なところがあることが原因と考えられている.
本研究では,柔軟で高強度の繊維部材を用いた対策工の耐衝撃性試験を実施し,その衝撃吸収性能や衝突時の損傷の程度を確認し,対策工の有効性を確認した.
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梅崎 健夫, 河村 隆, 河野 剛志, 河崎 彰, 野村 忠明, 大寺 正志, 藤森 徳雄, 細野 武久, 西井 淳, 境 大学, 松永 斉 ...
2008 年23 巻 p.
119-126
発行日: 2008年
公開日: 2008/12/13
ジャーナル
フリー
湖沼などの閉鎖性水域では富栄養化に伴う水質汚濁や悪臭などが問題となっており,その対策として,排水中の窒素・リンの規制や下水道の整備が推進されているが,あわせて水域内の浄化対策がさらに必要である.本文では,ジオテキスタイルと天然ゼオライトを用いた人工なぎさを提案する.人工なぎさは,天然ゼオライトとそこで生成される生物膜の浄化効果を期待して,天然ゼオライトもしくは玉砂利を充填したジオテキスタイル製大型土嚢と透水シートにより湖岸に囲繞堤を築造し,堤内に天然ゼオライトを敷設するものである.諏訪湖湖岸において実施した実証実験について論じ,現地調査および水質調査の結果に基づいて,提案法の有効性を示した.
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河端 俊典, 澤田 豊, 柏木 歩, 毛利 栄征, 内田 一徳
2008 年23 巻 p.
127-132
発行日: 2008年
公開日: 2008/12/13
ジャーナル
フリー
内圧管路の屈曲部にはスラスト力が作用する.通常,このスラスト力に対し曲管は背面地盤の受働抵抗力により支持される.農林水産省設計基準において,曲管に作用する受働抵抗力は,ランキンの受働土圧から算出される水平抵抗力の65%と規定されている.本研究では,曲管の背面地盤をジオグリッドにより補強する新たなスラスト防護工法を考案し,当工法を対象とした水平載荷模型実験を行った.その結果,当工法によって水平抵抗力が増加することが確認された.さらに,個別要素法を用いた数値解析により水平載荷模型実験をシミュレートし,当提案工法による水平抵抗力増加メカニズムについて検討した.その結果,補強領域地盤の一体化により水平抵抗力が増加していることが明らかとなった.
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河端 俊典, 澤田 豊, 毛利 栄征, 泉 明良, 有吉 充, 平井 貴雄, 斉藤 喜久雄
2008 年23 巻 p.
133-138
発行日: 2008年
公開日: 2008/12/13
ジャーナル
フリー
圧力管曲管部に発生するスラスト力に対して,一般的にコンクリートブロックが曲管部に打設される.しかしながら,地震時にコンクリートブロックが曲管部の大きな変位や,隣接管の離脱などを生じさせることが報告されている.その対策として,著者らはジオグリッドを用いた軽量スラスト防護工法を提案し,これまでに,水平載荷実験や実規模実験,数値解析などを行い,当提案工法がスラスト防護工法として十分有効であることが明らかとなった.しかしながら,当提案工法の耐震性は明らかにされていない.そこで本研究では,当提案工法の地震時挙動を明らかにし,耐震性を検討するために振動台実験を行った.実験結果から,液状化地盤において,曲管部に当工法を用いた場合,管の水平移動量が抑制され,また曲管部の離脱が抑制されることが確認された.
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数値シミュレーションと模型実験による評価
澁谷 啓, 齋藤 雅彦, 原 健二, 桝尾 孝之
2008 年23 巻 p.
139-146
発行日: 2008年
公開日: 2008/12/13
ジャーナル
フリー
近年,豪雨による盛土構造物の変状や崩壊による災害が多発している.盛土背部や地山から浸透する雨水が盛土内に浸入することにより飽和領域が拡大し,サクションの低下により土の剛性および強度がともに減少することが原因と考えられる.したがって,この種の地盤災害軽減のためには,盛土内および周辺への雨水の浸入を許さないことが重要である.本研究では,盛土構造物を囲むようにジオシンセティックス排水材をL型に配置し,鉛直に設置した排水材で受けた浸透水を盛土底部に水平に設置した排水材に流すことにより盛土外へ速やかに排水させる方法を考案し,この手法による盛土防水効果を不飽和浸透流数値シミュレーションにより定量的に評価している.また,神戸市六甲山系で採取したまさ土を用いた模型実験結果と解析結果を詳細に比較検討することにより,提案する数値シミュレーション手法の工学的適用性を検証している.
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実物大実験による評価
原 健二, 澁谷 啓, 齋藤 雅彦, 鳥居 宣之, 蔡 鍾吉, 桝尾 孝之
2008 年23 巻 p.
147-154
発行日: 2008年
公開日: 2008/12/13
ジャーナル
フリー
豪雨災害による盛土構造物の大変形や崩壊を防ぐための対策工として,盛土内に地山から浸透する雨水の浸入を軽減する仕掛けとして「ジオシンセティックスを用いたL型排水盛土防水工」を考案し,この対策工による盛土内の水位上昇抑制効果を数値シミュレーションおよび模型実験により確認した(澁谷ら,2008
1)).本研究では,六甲山から採取したまさ土を用いた高さ 2.5 m の「無対策盛土」と「L型排水盛土」による浸透実験を実施し,浸透特性および盛土変形挙動を比較検討することにより,「ジオシンセティックスを用いたL型排水盛土防水工」の盛土内の水位上昇抑制効果を検証している.また,盛土背部からの水の浸透に伴う盛土内の飽和度,毛管圧,壁面変位,土中のせん断変形,等の変化を詳細に計測し,解析結果と比較検討している.
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高橋 優輔, 間 昭徳, 立花 大地, 金子 賢治, 熊谷 浩二
2008 年23 巻 p.
155-160
発行日: 2008年
公開日: 2008/12/13
ジャーナル
フリー
ジオテキスタイル補強土壁を設計する際に,円弧すべりを想定した全体安定の検討を行うと,ジオテキスタイルの敷設長さを非常に長く設定しなければならない場合がある.このような場合に,全ての補強材長さを長くすることは非常に不経済であり施工性も悪い.本論文では,このような場合に通常の補強材よりも強度が高い高強度ジオテキスタイルを用いることを考える.まず,高強度ジオテキスタイルを用いた補強土壁について,遠心模型実験を行い,鉛直荷重に対する補強土壁の静的な安定性について基礎的な検討を行う.さらに,高強度ジオテキスタイルを用いた補強土壁の振動台模型実験を実施して,地震時の安定性についても検討する.
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相馬 亮一, 錦織 大樹, 龍岡 文夫, 有田 貴司, 坂井 優, 田村 知宏, 平川 大貴, 相澤 宏幸
2008 年23 巻 p.
161-168
発行日: 2008年
公開日: 2008/12/13
ジャーナル
フリー
インテグラルブリッジの橋台背面盛土を橋台背面に剛結した多数のジオグリッド層で補強した新しい橋梁形式であるGRS 一体橋梁(Geosynthetic-Reinforced Soil Integral bridge)の地震時及び常時安定性は、盛土が無補強であるインテグラルブリッジと比較して非常に高い。GRS 一体橋梁の地震時崩壊が生じる場合は、橋桁とRC 橋台構造物の慣性力によって生じる盛土上部の受働破壊が引き金となり、最終的には橋台下端が主働方向に変位し破壊に至る。したがって、橋台の背面盛土の受働抵抗を増加させると地震時安定性が向上する可能性が高い。本研究では地震時におけるGRS 一体橋梁の背面盛土セメント固化の影響を振動台実験により、インテグラルブリッジの欠点である気温変動による橋桁の熱膨張収縮が橋台背面のセメント改良盛土に与える影響を繰返し載荷模型実験により検証した。その結果、背面盛土をセメント改良することにより盛土は常時・地震時共に安定性が向上した。
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平川 大貴, 龍岡 文夫, 相澤 宏幸, 錦織 大樹, 相馬 亮一
2008 年23 巻 p.
169-176
発行日: 2008年
公開日: 2008/12/13
ジャーナル
フリー
背面土をジオシンセティックスで補強し,一体橋梁の壁面背面に定着させたジオシンセティックス補強土(GRS)一体橋梁の室内模型実験結果によると,構造系の破壊は壁面工下端が主働方向に回転するモードであることが明らかとなっている.このモードの効果的な抑制はGRS一体橋梁の橋桁長の長大化・高安定化につながる.本研究ではGRS一体橋梁の常時および地震時安定性に与える杭基礎の影響について実験的に検討し,GRS一体橋梁の杭基礎に対する基本概念を考察した.GRS一体橋梁では鉛直杭としてではなく,壁面工の転倒を抑制するために短杭を群杭として設置することが効果的である.さらに群杭効果を増加させるためには,短杭の設置位置を考慮することの重要性を考察した.
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福田 光治, 西浦 譲二, 山崎 智寛
2008 年23 巻 p.
177-182
発行日: 2008年
公開日: 2008/12/13
ジャーナル
フリー
本論文は土嚢などジオテキスタイルを使用したブロック積層体の新しい機能性を検討する基礎資料とするために,石垣積層壁面の安定性とその表面に吸着する蔓の役割に関する分析結果を示す。石垣の安定性は連続体力学としてではなく,ブロック壁面として個々のブロックが連なる膜骨格としての安定性を評価するモデルを構築する。さらに表面に吸着する蔓の吸着効果をブロック間に作用する粘着力として評価する。本論文では粘着力の効果を取り入れたブロック間のクーロン摩擦力でモデル化し,パラメーターの感度を示すとともに,蔓の中でもオオイタビを対象にして気根の分布密度,幹の径,引張り強さなどを示す。概略的なモデルではあるがブロック感度分析結果では,蔓の吸着力はブロック間すべりには重要な役割があるが,回転に対する影響は少ないことが分かった。またブロックは小さく,扁平で長い形状を傾斜させて積層すると効果があるが,限度があることも結論された。本研究段階では直立した石垣壁面を対象にしている。将来的には日本古来の石垣積層壁面曲線を対象に感度分析検討は行う必要がある。
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吉田 浩一, 田澤 浩二, 伊藤 修二
2008 年23 巻 p.
183-186
発行日: 2008年
公開日: 2008/12/13
ジャーナル
フリー
高速道路JCT工事おいて,二重壁構造を有するジオテキスタイル補強土壁が採用された.本補強土壁の施工箇所は高速道路のOFFランプの路体部にあたり,最大壁高10.2m,幅6.5mの幅員の狭い両面盛土形状であった.そこで,補強盛土体の一体性と施工性の向上を目的に,各段のジオテキスタイルを全層敷設とし両面の内壁まで敷設した.本工事では,補強土壁の安定性を評価するために,盛土施工中および供用後において「光ファイバーセンサー機能付ジオテキスタイル」1)を盛土に敷設し,ジオテキスタイルに生じるひずみの計測を行うこととした.本論文では,動態観測結果の報告とその評価を行う.
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篠田 昌弘, 大村 寛和, 羽矢 洋
2008 年23 巻 p.
187-194
発行日: 2008年
公開日: 2008/12/13
ジャーナル
フリー
従来,土留め壁構造物における健全性の評価は目視が主体であり,定量的な健全度評価法は確立していないのが実情である.比較的新しい工法である補強土壁工法に関しても同様である.そこで,土留め壁と剛な壁体を有する補強土壁構造物の健全度を評価するために,従来から橋梁下部構造物の健全度評価に適用されてきた衝撃振動試験法を参考に,小型起振器試験法を開発し,固有振動数の測定を実施した.まず,L型擁壁模型を用いて壁体に作用する土圧や支持力と固有振動数の関係を把握した後,実物大の剛な壁体を有する補強土壁模型に対して小型起振器試験を実施した.実験結果から,L型擁壁と補強土壁構造物の壁体の固有振動数により構造物の健全性を評価できることが分かった.
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宮田 喜壽, Richard BATHURST
2008 年23 巻 p.
195-200
発行日: 2008年
公開日: 2008/12/13
ジャーナル
フリー
本文は,壁面が勾配を有するジオシンセティックス補強土壁における補強材力の推定法について論じる.これまで著者らは,北米で開発された砂質土を用いたジオシンセティックス補強土壁の補強材力の推定法を,粘着力を有するケースに適用できるように拡張してきた.本文では,壁面勾配の異なる補強土壁についてケーススタディを行い,その影響を考慮した補強材力の推定法について論じる.
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中島 進, 古関 潤一, 渡辺 健治, 舘山 勝
2008 年23 巻 p.
201-208
発行日: 2008年
公開日: 2008/12/13
ジャーナル
フリー
模型振動台実験における補強土壁の地震時挙動を反映して,支持地盤及び背面盛土の地盤変形の影響を考慮したジオグリッド補強土擁壁の地震時変位量計算手法を構築し,過去に実施した模型振動台実験の再現解析を実施した.提案手法では,地盤変形の影響を考慮することによって,剛体釣り合いを想定したNewmark法では考慮できない低加速度レベルから生じる変位量増分を評価することが出来る.提案手法を既往の補強土壁に関する振動台実験に適用した結果,計算値と実測値は比較的良好に一致した.また,提案手法の実物大構造物への適用性を検証するために,兵庫県南部地震において被災した補強土壁の実被害事例解析も行った.
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原 隆史, 辻 慎一朗
2008 年23 巻 p.
209-214
発行日: 2008年
公開日: 2008/12/13
ジャーナル
フリー
本論文では,補強土を道路拡幅における腹付け盛土へ適用する特殊な事例として,施工中に確認された設計地盤条件との違いに適合すべく,地すべり抑止杭を支持杭とした細幅補強土の適用について紹介する.これは,当初拡幅盛土として,既設盛土を一部切土し,かつ基礎地盤を改良した一般補強土を計画していたところ,掘削途中で盛土及び基礎地盤が設計で考えていた土質と異なり,巨礫が混入する粘性土系地盤であったため,現時点以上の掘削が困難なこと,狭小地地盤改良が困難で地すべり抑止杭が必要であると考えられたことなどによる.本工法の適用にあたっては,細幅補強土の安定検討に加え,杭と補強土との結合部の解析的検討などを実施し,他工法との再比較から採用の合理性を確認して計画した.
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小林 幹人, 関 雅樹, 渡邊 康人, 可知 隆, 古関 潤一
2008 年23 巻 p.
215-222
発行日: 2008年
公開日: 2008/12/13
ジャーナル
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大規模地震時のバラスト流出による軌道変位を抑制するため,ジオテキスタイル素材のネットにバラストを詰めたバッグを道床肩部に沿って積上げ積層体としたバラスト止めが提案されている.その耐震性能を確認するため,実物大軌道と実地震波による振動台試験を行った.その結果,ジオテキスタイル材料で補強したバラスト軌道構造はL2地震を超える大規模な地震動にも高い耐震性能を発揮し,バラストの流出を防止するとともに,道床横抵抗力の確保や軌道変位の抑制に効果があることが確認できた.また,更なる性能向上のためバッグを傾斜積みにするなど各種の構造改良を行い,水平支持力試験でその性能を確認した.改良構造による振動台試験では,道床断面が広く大きな慣性力が作用する場合にも,十分な耐震性能があることが確認できた.
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小浪 岳治, 大和田 貴博, 石崎 英夫, 中澤 博志, 立野 恵一
2008 年23 巻 p.
223-230
発行日: 2008年
公開日: 2008/12/13
ジャーナル
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従来,液状化の発生が予測される地盤上に土構造物を構築する場合には,密度増大,間隙水圧消散,固化処理,地下水位低下などの液状化対策が施されてきたが,土構造物を許容できる変状に抑制して経済的な盛土補強技術の研究開発は有意義といえる.本研究では人工的に液状化させた実地盤上の盛土底部を,高強度ジオシンセティックを用いたマットレス構造により補強して挙動を調べた。本報では,実験により確認された液状化に伴う流動現象,及び過剰間隙水圧の消散に伴う沈下現象を2次元液状化流動解析プログラムALIDを用いて再現するとともに,種々の条件下における高強度ジオシンセティックによる液状化地盤上の盛土補強効果をシミュレートした結果を報告する.
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竜田 尚希, 張 至鎬, 常田 賢一, 小田 和広, 中平 明憲
2008 年23 巻 p.
231-236
発行日: 2008年
公開日: 2008/12/13
ジャーナル
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道路盛土が地震によりすべり崩壊すると,道路網の機能に甚大な影響を及ぼすため,耐震補強工法の開発が急務である。道路盛土の経済的な耐震補強工法の開発の基本姿勢として,性能評価の視点に基づく,「すべり破壊制御」の設計概念が提案されている.本論文は,「すべり破壊制御」の設計概念を実現する方法の一つである「天端補強構造」を対象として,道路盛土の天端をジオシンセティックスで補強することにより、地震時の致命的なすべり崩壊を防ぐ「天端一体化工法」の提案を行う.また,同工法について,野外での実大模型実験および動的遠心載荷実験により,すべり破壊の制御特性を把握し,効果を検証したので,その結果を報告する.
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椋木 俊文, 永田 孝輔, 谷口 徳晃, 松本 英敏
2008 年23 巻 p.
237-242
発行日: 2008年
公開日: 2008/12/13
ジャーナル
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最終処分場で適用されるジオメンブレンは、埋立施工時において廃棄物運搬車両による繰り返し荷重や日射光による熱応力の発生によって劣化・破損する。ジオメンブレンの破損形状や直下の地盤条件に依存して、処分場からの漏水量は変化する。本研究では、まず現象の把握を目的として、ジオメンブレンからの漏水問題を対象とした模型実験を実施し、X線CTスキャナを用いてジオメンブレン直下の漏水現象を可視化することにより、ジオメンブレンの破損形状と漏水領域について考察した。
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小竹 望, 竹内 尚人, 嘉門 雅史
2008 年23 巻 p.
243-246
発行日: 2008年
公開日: 2008/12/13
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線状高分子混合処理土は、浚渫粘性土に固化材と線状高分子材料(短繊維)を混合した土質系遮水材料であり、靭性が高いので変形を受けても遮水性を保持できることが特長である。本研究では、廃棄物海面処分場の遮水工として敷設される遮水シートの不透水性地層との定着部に線状高分子混合処理土を利用する場合を対象とし、遮水シートと線状高分子混合処理土の境界面の遮水性を実験的に評価した。線状高分子混合処理土の内部に遮水シートを挿入した供試体の透水試験結果から境界面透水係数を算定し、境界面の透水性は十分に小さく定着部の遮水性が満足されることを示した。
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西村 正樹, 赤井 智幸, 嘉門 雅史
2008 年23 巻 p.
247-252
発行日: 2008年
公開日: 2008/12/13
ジャーナル
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廃棄物最終処分場の最終カバー層に用いるキャッピング材料として、遮水性、ガス透過性、施工耐久性を併せ持ったジオシンセティックスが求められている。筆者らはこれまで、多孔質シートと不織布から成るジオコンポジット(GC)について、キャッピング材料としての基本性能を評価してきた。GCを斜面部の最終カバー層に適用するためには、GCの上部に設置される覆土との界面において、すべりに対する安定性が要求される。
本研究では、表面状態の異なるGCの土との界面における摩擦特性を評価するとともに、土層の締め固めの影響について検討した。その結果、覆土と接触する不織布の表面状態を改良することで、土との界面における摩擦特性が向上することが明らかになった。また、GCと土との界面の摩擦特性は、土の締め固め条件の影響を受けることがわかった。
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加藤 智丈, 岸本 達也, 森 充広, 森 丈久, 長束 勇
2008 年23 巻 p.
253-258
発行日: 2008年
公開日: 2008/12/13
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近年,農業水利施設において,劣化などによる水利機能の低下が問題となっている.筆者らは,コンクリートフェーシング式貯水池の目地部を対象とし,ジオメンブレンを活用した補修工法の開発を行っている.本工法は,従来の表面遮水工法と異なり,目地部にのみジオメンブレンを敷設するため,使用材料を最小限に抑えることができ,経済性および施工性に優れる.しかし一方で,目地両端部分にジオメンブレンと躯体との接合が連続的に発生することから,止水性に課題がある.この課題を解決すべく,本工法では,シール材を躯体表面とジオメンブレンの間に配置し,止水性の向上を図った.本報は,要求性能を想定した各種性能評価の概要および試験結果,ならびにシール材の相違による本工法の諸性能への影響についてとりまとめたものである.
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土屋 喬, 石川 雅洋, 辻 淳一, 石井 秀明, 清水 昭二, 芝地 一嘉, 小田 垣公三, 入鹿 秀樹, 江崎 孝二, 寺田 泰昌, 小 ...
2008 年23 巻 p.
259-264
発行日: 2008年
公開日: 2008/12/13
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日本遮水工協会(技術部会保護マット分科会)にて、遮光性保護マットの実用上の問題点をアンケート調査により把握するとともに、2年間に渡り各種廃棄物最終処分場用遮光性保護マットの屋外暴露試験を実施し、挙動を調査した。1年目は無荷重(フリー状態)で暴露させ寸法変化を確認し、最大で3 %程度になることを確認した。2年目は実際の処分場で想定される引込み荷重載荷して暴露試験を実施した。一般保護マットは寸法変化が著しく大きくなったが、耐候処方をしている遮光性保護マットは載荷による幅収縮が3%程度と、アンケートで把握した実際の現場状況を再現している。今後はこの結果を、現場での不具合の多数を占める「接合部外れ」を防止するための、遮光性保護マット敷設基準、施工方法制定に反映させていきたいと考える。
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谷中 仁志, 桝谷 有吾, 高橋 勇, 吉田 直人, 稲垣 由紀子, 小橋 秀俊, 岡村 昭彦
2008 年23 巻 p.
265-270
発行日: 2008年
公開日: 2008/12/13
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袋詰脱水処理工法は,河川,湖沼などに堆積している高含水比で軟弱な土を透水性の袋に充填して脱水を促進し,袋の張力を利用して積み重ねて有効利用する工法である.袋体に充填した処理土は,自重圧密による排水や袋表面からの蒸発により含水比が低下する.そのため,脱水後には不飽和状態となることが予想されるが,脱水に関する現状の設計方法では飽和状態と仮定した計算が行われており,妥当性について検証されていない.
本論では,処理土内の飽和度の変化を把握し,現行の設計方法の妥当性を検証することを目的として,小型袋を用いた充填実験を行った.ADRを用いた実験結果から,充填後8週間経過後の飽和度は80%程度を示した.この飽和度を用いて脱水量の試算を行ったが実測値と合致せず,蒸散の影響が大きいことが明らかとなった.
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杉本 昌由, 佐伯 博之
2008 年23 巻 p.
271-276
発行日: 2008年
公開日: 2008/12/13
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袋詰脱水処理工法(エコチューブ)はジオテキスタイル製の袋に浚渫土などの建設発生土を充填して脱水・減量化するとともに袋の張力を利用して盛土材や埋土材に有効利用する工法であり,土木研究所と民間各社により既に実用化されている.
筆者らは充填施工能力改善のため,袋詰脱水処理工法用の環境対応型量産施工設備を開発している.今回ジオテキスタイル製の袋を用いて,河川底質を袋に充填し,脱水・減量化後盛土材として自ら利用した施工を実施したのでその施工システムと施工事例を報告する.
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