ジオシンセティックス論文集
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論文
土嚢積層システムを適用した補強堤体の実物大振動実験
水平および傾斜した土嚢積層構造の違いと耐震メカニズム
松島 健一毛利 栄征龍岡 文夫
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2009 年 24 巻 p. 157-164

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抄録

ため池は築造年代が古いものが多く,現在の設計基準と比較して不適格なものがかなり存在する.その一方,近年では豪雨や地震による災害リスクへの対応が社会的な課題となっており,減災効果が期待できる強化復旧技術の開発が強く望まれている.そのため,本研究では地震に強い堤体構造を開発することを目的に,土嚢積層システムを適用した補強ため池堤体の実物大の振動実験を実施した.実験では,通常の水平積み(δ=0°)および石垣のように背面側に傾斜積み(δ=18°)した実物大模型(堤高2.7 m, 下流勾配1H:1V)を作成し,規則波による段階加震を行った.その結果,水平積みタイプは最大加速度500gal 時点で土嚢間に滑動破壊が生じたが,傾斜積みタイプでは1,000gal でも土嚢間には滑動破壊が生じず,耐震性が大幅に向上することがわかった.

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© 2009 国際ジオシンセティックス学会 日本支部
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