抄録
寒冷地では,ジオテキスタイルを用いた補強土壁が凍上により変形する例が報告されている.その対策の確立を目的として,これまで,置換,排水,断熱に着目した実物大模型を構築し,ひずみや変形を測定し標準工法と比較した.その結果,置換,断熱工法により凍上による変形を抑制できる可能性があることが分かった.今回施工から1年が経過した補強土壁について計測を継続するとともに,断熱工法に着目して新たに3種類の凍上抑制工を設置した.それぞれの補強土壁を計測した結果,全体の傾向として、凍上によって発生したひずみや変形が融解後も残留し,次の凍結により累積していくことが分かった.