抄録
本研究では,前刃金工法および遮水シートを用いて改修されたため池の耐震安全性を検証するため,堤高3mの実大規模ため池堤体を対象に加振実験を実施した.レベル1地震動を想定した最大177 Galの加振実験の結果,両ケースともに漏水は生じず,堤体の変形は極めて小さかった.さらに,レベル2地震動を想定した最大471 Galの加振実験の結果,決壊や漏水には至らなかったが,遮水シートを用いたケースでは,天端において幅10mm程度のクラックが堤体軸方向に複数発生した.また,両ケースともに天端で沈下,底部ではらみ出すような変形が確認された.上流側の変形量の方が下流側よりも大きくなり,湛水部が堤体の動的挙動に及ぼす影響が示唆された.