2016 年 31 巻 p. 67-
補強盛土の建設に伴う支持地盤と盛土の変形が十分に生じた後で、剛で一体の壁面工を補強盛土と一体になるように段階施工するGRS(Geosynthetic-Reinforced Soil)擁壁、GRS耐震性橋台、GRS一体橋梁は、広く用いられるようになってきた.これは、これらのGRS構造物は従来形式の擁壁等の構造物よりも性能と直接建設費及びライフサイクルコストで優れているためである.一方、剛一体壁面工の直接建設費はブロック式・分割パネル式等の簡易な壁面工よりも高い傾向にある.しかし、剛一体壁面工によって長期・地震豪雨時の安定性が向上し、壁面間際の天端面まで利用可能になり、遮音壁・防護柵・電柱等付帯設備を壁面工に設置でき、橋台として活用できるなどの利点が生まれることから、ライフサイクルでの費用便益比がより優れたGRS構造物になる.