2017 年 32 巻 p. 159-
近年,線状構造物である補強土壁の効率的な現況把握手法として表面波探査の有用性が報告されている.今 後,補強土壁の健全性評価手法として表面波探査を高度利用するためには,補強土壁の変状程度と表面波探査 から取得できる S 波速度 VS の関連性を把握する必要がある.そこで本研究では,北海道オホーツク地域に施 工されている変状程度が異なる 5つの補強土壁に対して表面波探査を行い,VSの 2次元分布と壁面パネルの傾 斜角の関連性について調べた.その結果,壁面パネル傾斜角が大きい場合には,深度増加に対して VS は単調 に増加せず,局所的に低下しており,表面波探査から取得できる VS を利用することで補強土壁の健全性を評 価できる可能性を見出した.