抄録
近年,記録的短時間大雨により土構造物に大きな被害が発生している.土構造物の一つである補強土壁にも大雨により変状が発生しており,その対策が急務となっている.本研究では,2011年5月に上陸した台風2号により崩壊した補強土壁を対象に,浸透流解析と安定解析を交互に実施することにより,補強土壁の時間的な安定性を評価した.さらに,大雨時の排水工からの溢水を模擬した浸透流解析と安定解析を実施することで,大雨時の補強土壁の崩壊メカニズムの解明を試みた.浸透流解析と安定解析の結果,2011年5月の台風により,補強土壁背面盛土の水位が上昇する一方,法面排水工からの溢水の影響で補強土壁の安定性が大きく低下して崩壊に至ったことを数値解析的に明らかにした.