抄録
平成10年9月の台風により,富山県利賀村大勘場地内において,主要地方道利賀河合線の一部が斜面崩壊を起こした.この区間の復旧工法として,資材の搬入が困難なことから,補強盛土工法が採用された.しかし,背後地山が安定しているにも関わらず,必要引張力が最大となる円弧に対してジオシンセティックスの定着長を確保するために,背後地山の掘削が必要となった.そこで,著者らは不足する引張抵抗力を地山に打設したロックボルトとジオシンセティックスを連結することにより補う工法を提案した.本論文では,まずロックボルトによる抑止効果を考慮した補強土擁壁の設計手法について述べる.つぎにロックボルトとジオシンセティックスの連結構造について述べ,最後に施工時に実施する計測計画について述べる.