抄録
鉄道においてジオテキスタイルを用いた補強土工法が初めて使用されてから,約10年が経過した.また,剛な壁面を有する補強土壁工法(RRR工法)が鉄道総研により開発されてからは,擁壁の代替えとして鉛直盛土も盛んに利用されるようになった.さらに近年,仮線ではあるが営業線として,プレストレス・プレローディド(PL・PS)補強土による橋りょう橋脚も建設されるに至った.
既往の数々の施工事例を概観すると補強盛土の形式も一様でなく,特に工事施工に伴う制約条件を解決するために検討し,標準工法とは発想の異なる,ジオテキスタイル補強土の特質・利点を上手く生かしたものも存在する.そのような施工事例を紹介するとともに,鉄道構造物におけるジオシンセティックスの適用について検討した.