抄録
土質材料の弱点を補うために、補強や排水,分離,濾過,遮水などを目的として、これまでに多種多様なジオシンセティックスが開発・適用されてきたが、ジオテキスタイルをはじめとするこの種材料は形態的に面状であるのが一般的である。しかし、テキスタイルという意味合いでは、筒状の織物やホース状物などの袋(ジャケット)も代表的な形態であり、袋内にモルタルや流動化処理土などを填充することにより、従来にないジオシンセティックス材料として、地盤工学分野への貢献が期待される。具体的には、斜面安定対策におけるフリーフレームに替わる補強格子枠としての適用,軟弱地盤の表層処理に用いられるシート工法が抱える不同沈下対策への適用,トンネルの簡易支保覆工への適用,さらに杭の機能向上への適用などが挙げられる。本論文では、実用に供されている事例を含め、筒状織物,ホース状物の地盤工学分野への適用方法を紹介するとともに、効果を確認するための実験結果などについて述べ、今後の展開,将来への展望について言及する。