2005 年 20 巻 p. 101-108
2004年に発生した台風23号や新潟県中越地震では多くの土質構造物が甚大な被害を受けた.災害復旧では土嚢を積層し,擁壁のように機能させる,あるいは,侵食防止を図るため仮設的に堤防に用いるなどさまざまな用途に使用された.こうした土嚢の持つさまざまな機能は古くから知られているが,筆者らは土嚢を仮設的な材料として見なすのではなく一般の土木資材として利用し,それらの機能をフルに活用して高い防災機能を有するため池堤体構造の開発を行っている.本研究はその前段として土嚢によって積層された堤体斜面の安定性を検討するため,土嚢材や中詰め材の材質および土嚢形状などが異なる土嚢積層体の圧縮試験を実施し,土嚢の圧縮変形特性について検討を行った.