ジオシンセティックス論文集
Online ISSN : 1883-146X
Print ISSN : 1344-6193
ISSN-L : 1344-6193
20 巻
選択された号の論文の45件中1~45を表示しています
  • 安原 一哉
    2005 年 20 巻 p. 1-12
    発行日: 2005/12/01
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    最近になって、Mechanical stabilizationの補強土工法とChemical stabilizationの地盤改良工法を組み合わせたハイブリッドな工法が提案されるようになって来た.著者らがここで提案しようとしているものもこのような観点に立った変形を抑制するためのハイブリッドなサンドイッチ工法である.ここで言うハイブリッドは、(1)使用する材料がハイブリッドであること、(2)使用するジオシンセティックスと他の材料を組み合わせるという両方を含んでいる。前者では、ジオコンポジットがそれに相当する.後者では、(i)他の材料と組み合わせて敷設するか、(ii)他の固化材料を添加・混合して付加価値を高めることを意図している.ここでは、(i)のうち、ジオシンセティックスに砂層を組み合わせることによって得られてきた3つのアドバンテージ:1)支持力改善効果,2)剛性改善効果,3)透水・通水性能維持するための、安定な基礎地盤と土構造物を構築することを模型実験によって実証した.このようなサンドイッチ補強によれば、上記のような効果に加えて、靭性(粘り強さ)の高い土構造物となりうることも明らかになった.本文はこれらの成果を総括したものである.
  • 赤木 俊允
    2005 年 20 巻 p. 13-18
    発行日: 2005/12/01
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    IGS日本支部主催のジオシンセティックス・シンポジウムが20回を迎えるに当たり、その推移を振り返って現状を把握し、将来への展望に資するデータを提供する。発表論文の分類・分析に基づき、このシンポジウムが過去20年間毎年の支部行事として順調に進展し着実な成果を収めてきたこと、そして我が国のジオシンセティックス工学の発展に大きく寄与してきたこと、を明らかにする.
  • 寺川 秀人, 高羽 泰久, 一井 康二, 弘中 淳市, 福田 光治
    2005 年 20 巻 p. 19-26
    発行日: 2005/12/01
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    近年,港湾区域の岸壁は,流通・防災上の観点から増深あるいは改築などが行われているが,土圧を軽減するための裏込め材として浚渫土砂をセメント改良した固化処理土が用いられつつある.また,補強土工法は,道路盛土などで広く適用されているが,護岸や岸壁などの海洋構造物への適用例は少ない.そこで著者らは,海洋構造物の安定・耐震対策として,固化処理土とジオシンセティックスの併用工法(SG-Wall工法)を提案し,その適用性について研究を行っている.本報では,3次元水中振動台を用いた振動実験を実施し,変形量等の計測データより複合構造体の地震時の強度,変形および振動特性について報告するものである.
  • 叶 冠林, 李 海勲, 一井 康二, 弘中 淳市, 寺川 秀人
    2005 年 20 巻 p. 27-32
    発行日: 2005/12/01
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    SG-Wall工法は,固化処理土とジオシンセティックスを併用した護岸構造物の安定・耐震工法であり,この工法の耐震性を検討するために,水中振動台で1/24模型実験を行った。本報では,振動台実験に対して2種類の動的有効応力有限要素解析を実施し,FEM解析によって表現できる範囲と改良方向を確認するとともに,SG-Wall工法の補強効果を調べた。なお,使用したプログラムはDGPILE-2DとFLIPである。
  • 福田 光治, 一井 康二, 高羽 泰久, 平井 貴雄
    2005 年 20 巻 p. 33-38
    発行日: 2005/12/01
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    海洋護岸構造物の安定・耐震対策として,固化処理土とジオシンセティックスの併用工法(SG-Wall工法)を提案し,その適用性について研究を行っている。その一環としてケーソン式護岸と矢板式護岸をモデル化して3次元水中振動台を用いた振動実験を実施した。本論文では模型実験を実大規模の実験と考えて加振後の残留変位に着目し,Newmark法の考え方に準拠して残留変位を予測する推定式を提案し,実験結果と比較した。またSG-Wall工法の特徴はケーソンや矢板と固化処理土を結合することであるが,推定式に基づいて結合効果を検討した。なお波形を三角形で近似化することによって,正弦波,不規則波を区別せずに同じ式で評価できることを示す。
  • 中島 進, 古関 潤一, 渡辺 健治, 舘山 勝, 加藤 範久
    2005 年 20 巻 p. 39-46
    発行日: 2005/12/01
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    既存擁壁のつま先部に鋼矢板を根入れする事で擁壁の耐震性を向上させる工法の補強効果を確認することを目的として,1g場で不規則波加振による模型振動台実験を実施した.矢板補強が無いジオグリッド補強土擁壁の場合と比較して,矢板を根入れした場合の転倒量は低減された.もたれ式擁壁に対する実験においても同様の補強効果が確認されたものの,その補強効果はジオグリッド補強土擁壁の場合の方がより顕著だった.矢板の補強効果を既往の補強土擁壁の残留変位量計算手法に導入するために,矢板を根入れした支持地盤と矢板が分担して地震時に作用する外力に抵抗すると想定し,実験結果からそれぞれの負担割合を決定した.この負担割合と既往の残留変位量計算手法を組合せて,矢板補強を有する補強土擁壁の残留変位量計算手法を構築した.この手法による残留変位の計算値を前述した模型実験における実測値と比較した結果,両者は比較的良く一致した.
  • 狩野 真吾, 小田 勝也, 吉田 誠, 三藤 正明, 秋本 哲平
    2005 年 20 巻 p. 47-52
    発行日: 2005/12/01
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    管理型廃棄物埋立護岸には、地震時における遮水機能の確保が求められているが、護岸全体の挙動と遮水シートの挙動の関係が明らかにされていないため、遮水機能を考慮した耐震設計法を確立するには至っていない.
    本研究では、管理型廃棄物埋立護岸における遮水シートによる遮水工の地震時変形特性を明らかにするために、水中振動台による模型振動実験を実施し、遮水シートのひずみおよび護岸の変形量について計測を行った.なお加振は、レベル1相当の地震動(八戸波)およびレベル2相当の地震動(ポートアイランド波)の2種類により行い、地震動の違いが遮水シートのひずみおよび護岸変形量に及ぼす影響について検討を行った.
  • 井澤 淳, 桑野 二郎
    2005 年 20 巻 p. 53-60
    発行日: 2005/12/01
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    平成16年10月23日に発生した新潟県中越地震では,水位の上昇した補強土構造物の被害が報告されている.そこで本研究では遠心模型実験装置を用いて,補強土構造物の耐震性に関する水位の影響を調べた.その結果,水没することにより補強材との引抜き抵抗が減少し,非常に大きな滑動量を生じることが分かった.また,飽和させることにより補強領域の剛性も低下するが,繰返し載荷による顕著な剛性の低下は見られず,土壁のせん断変形はあるレベル以上進行しないことが確認できた.
  • 今野 雄太, 巻内 勝彦, 峯岸 邦夫
    2005 年 20 巻 p. 61-66
    発行日: 2005/12/01
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    近年,建設工事による産業廃棄物として発生する汚染土が増加し,それに伴い対策工法も多様化している。
    そこで,本来廃棄処理する建設発生土を盛土材等の建設材料に転用するために行う土壌浄化改良工法として,ジオテキスタイルをドレーン材として使用し,排水とともにその汚染物質も同時に排出させることにより土壌浄化効果を排水補強効果とともに評価・検討した。
    本研究では,試料土に関東ロームと川砂を使用し,汚染土とジオドレーン材による室内土槽モデル試験を行い,粒径,上載荷重,ドレーン材の敷設条件,試料土の種類,水頭等の諸条件を変化させ,着実な効果予測,より高い汚染除去能力を持つ諸条件の組み合わせを見出すための基礎的実験を行い考察した。
  • スパンボンド設置による脱水促進に関する実験および耐圧実験
    岡村 昭彦, 東 克彦, 倉田 正博, 佐伯 博之, 西形 達明
    2005 年 20 巻 p. 67-72
    発行日: 2005/12/01
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    袋詰脱水処理工法は、ジオシンセティックスの袋に高含水比の粘性土、浚渫土等を充填して脱水処理した後、袋材の張力を利用して袋体を盛土、埋戻し材等として有効利用する技術である。袋体に要求される機能は施工時に破損しないこと、脱水処理期間中に高濃度の濁水を出さないこと、早期に脱水処理して第3種建設発生士並みに改質することである。当工法の脱水機構は自重圧密排水により行なわれる。袋体に包むことにより排水距離が短くなるが、さらに袋体内部に排水材を設置することにより脱水時間の短縮が可能となる。本実験では排水機能を高めた袋体を作成し、透水性および初期濁水濃度の処理性能についての性能確認試験を実施した。また袋体の耐圧性の確認を行い、施工時における管理値を決定した。
  • 山上 武志, 北本 幸義, 早崎 勉
    2005 年 20 巻 p. 73-80
    発行日: 2005/12/01
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    水処理施設構造物の構築において、基礎杭の地盤横抵抗を増加させるために、N値が0~1程度の腐植土や粘性土からなる超軟弱地盤を改良することが余儀なくされた。今回の施工条件の一つとして、近接する鉄道盛土への影響を極力抑制するために、通常の載荷盛土工法ではなく、万一影響が及んだ場合にも即時に除荷が図れる真空圧密工法を採用した。当工法は大気圧を利用して軟弱地盤中の水を強制的に排水させるもので、気密シート、保護シートや鉛直・水平ドレーンとしてのプラスチックドレーン材などのジオシンセティックスを使用して、約8,700m2の地盤改良を実施した。本論文では、真空圧密工法における計画、施工、計測などの実績を述べ、所要の効果が得られたことを紹介する。
  • 榊原 務, 安原 一哉, 村上 哲, 小峯 秀雄
    2005 年 20 巻 p. 81-88
    発行日: 2005/12/01
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    近年,ジオシンセティックス(GS)を巧みに利用することで粘性土でも安定した土構造物として利用でき,また基礎地盤として十分な機能を果たすことができる.著者らは,これらの機能改善や新たな機能の付与,更には高規格化を可能とするため,基礎地盤や土構造物に敷設されたGSの上下に粒状層を設けた“ハイブリッドサンドイッチ補強土工法”を提案し,基礎的な室内実験を継続している.本論文では,特にGSによる靭性(粘り強さ)の改善に注目し,その一要因として粒状層とGSの相互作用に着目した.そこで,平面ひずみ条件における小型模型実験,及び土とGSの摩擦特性を求める要素試験を行った.その結果,サンドイッチ構造における粒状層のダイレイタンシー挙動がGSを拘束し,靭性改善効果に付与していることを明らかにした.
  • 前田 和亨, 高橋 浩, 石黒 健, 三村 衛
    2005 年 20 巻 p. 89-96
    発行日: 2005/12/01
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    近年では環境リスクなどの問題によって良質な砂の供給が困難になりつつあり,バーチカルドレーン打設時に用いるサンドマットの材料として,建設廃材や浚渫土などの細粒分を含む透水性の低い土が用いられる機会が増えている.こうしたサンドマットでは鉛直ドレーンによって集水された水をスムーズに排水することが困難となり,沈下促進というドレーン本来の機能を十分に発揮できない可能性がある.筆者らは粘土地盤に打設される鉛直ドレーンの余長部を相互に連結してネットワーク状の水平排水経路を形成し,集水された水を盛土外あるいは暗渠部に排水させる軟弱地盤圧密促進工法を考案し,その有効性について検証を行った.その結果,提案工法は良質なサンドマットを用いた従来工法と同等の圧密促進効果を有すことが確認された.
  • 倉田 正博, 柴田 健一, 峯岸 邦夫, 牧迫 達郎
    2005 年 20 巻 p. 97-100
    発行日: 2005/12/01
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    ジオシンセティックスの形態は一般的には面状であるが,筒状織物や袋状の織物を用いた工法も多く用いられている.その中でも,筒状織物にモルタルや,泥土,砂を充填し,織物の引張強度を積極的に利用して土質材料やコンクリート材料を補強する工法が最近になっていくつか開発され,「ジャケット工法」と呼ばれている.一方で,発泡廃ガラス,スチレンビーズ,気泡モルタル等の軽量土を材料として用いた工法も,軟弱地盤上の構造物構築等に用いられるようになってきている.本研究では,筒状織物(ジャケット)に,発泡廃ガラス,スチレンビーズ,エアミルク等の軽量土を充填した場合の基本特性を把握するため,各種軽量土の土質特性および軽量土を充填したジャケットの曲げ特性,圧縮特性を把握する試験を計画しており,今回,その1として,軽量土の一種類であるエアミルクを充填したジャケットについて,その基本的な特性試験を実施した.
  • ため池堤体への適用性
    松島 健一, 毛利 栄征, 山崎 真司, T. N. Lohani, Aqil Umair
    2005 年 20 巻 p. 101-108
    発行日: 2005/12/01
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    2004年に発生した台風23号や新潟県中越地震では多くの土質構造物が甚大な被害を受けた.災害復旧では土嚢を積層し,擁壁のように機能させる,あるいは,侵食防止を図るため仮設的に堤防に用いるなどさまざまな用途に使用された.こうした土嚢の持つさまざまな機能は古くから知られているが,筆者らは土嚢を仮設的な材料として見なすのではなく一般の土木資材として利用し,それらの機能をフルに活用して高い防災機能を有するため池堤体構造の開発を行っている.本研究はその前段として土嚢によって積層された堤体斜面の安定性を検討するため,土嚢材や中詰め材の材質および土嚢形状などが異なる土嚢積層体の圧縮試験を実施し,土嚢の圧縮変形特性について検討を行った.
  • 川上 聖, 安原 一哉, 秋間 健, 村上 哲, 小峯 秀雄, 池永 貞二
    2005 年 20 巻 p. 109-116
    発行日: 2005/12/01
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    本研究は,タイヤシュレッズを(1)ジオネットで補強した水平地盤として適用した場合,(2)壁体のない盛土地盤((1)片側補強と(2)両側補強)として使用した場合を想定して行った小型支持力模型試験(変位制御)を行った結果とその考察結果を報告したものである.本研究の結果,以下のことがわかった.
    1) タイヤシュレッズのみで構成された水平地盤でも締固めとジオシンセティックス補強を施すことによって支持力の向上につながる.しかし,支持力改善に及ぼす締固め効果に比べると,補強効果は大きくない.ただし,締固めと補強を併用することによって,支持力改善効果が顕著になる.2) 盛土の壁面に土のうを用いた補強を施すことによって締固めたタイヤシュレッズ地盤はより安定する.3) 片側土のう補強盛土地盤に比べると,両側土のう補強盛土地盤では,載荷に伴う土のう部分の水平変位は,締固めの程度に関係なく極めて小さい.よって,この方法によれば,壁体がなくても堅固な盛土の構築が可能であることが示唆される.
  • 重久 伸一, 宮田 喜壽, 末次 大輔, 奥田 聖章, 落合 英俊
    2005 年 20 巻 p. 117-122
    発行日: 2005/12/01
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    浚渫土を有効活用する方法として固化処理技術が用いられている.著者らは,ジオシンセティックスを固化処理土中に敷設することにより,固化処理土の脆性的な性質を改善する技術について検討している.本研究では,ジオシンセティックスを配置した固化処理土に対して,室内試験により補強条件が脆性改善効果に及ぼす影響を実験的に明らかにした.具体的には,補強材を1層敷設した角柱供試体に対して,一軸引張試験を行った.本文では,実験の概要を説明し,実験結果について考察する.
  • 重久 伸一, 宮田 喜壽
    2005 年 20 巻 p. 123-128
    発行日: 2005/12/01
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    浚渫土を活用する方法として固化処理技術が用いられている.著者らは,ジオシンセティックスを補強材として用い,固化処理土の脆性的な性質を改善する技術について検討している.本研究では,材料の破壊挙動のシミュレーションに適した有限要素法を,ジオシンセティックスが配置された固化処理土の挙動を解析できるように拡張し,その脆性改善効果について検討した.本文では,解析法の概要について説明する.そして,若干の計算結果を示す.
  • 村上 哲, 安原 一哉, 田中 卓也, 菊池 喜昭, 御手洗 義夫, 森沢 友博
    2005 年 20 巻 p. 129-136
    発行日: 2005/12/01
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    固化処理土の三軸圧縮試験から得られる応力~ひずみ関係は,最大応力点に達した後,徐々に圧縮応力が低下する,いわゆる,ひずみ硬化-軟化型の曲線を示す。この脆性的な挙動を改善するために,タイヤチップスを混合して固化したタイヤチップス混合固化処理土は,最大強度点からの圧縮応力の低下量が小さくなる靭性を有する材料,加えて,軽量な地盤材料へと変化する。この力学特性を表現できるモデルを構築することが本研究の目的である。そのために,下負荷面の概念と損傷理論を導入した弾塑性構成モデルを構築した。この力学モデルによる計算結果と実験結果の比較によりその有効性を検討するとともに,損傷パラメータに着目して,靭性との関連性について述べた。
  • 横田 善弘, 斎藤 祐司, 南 和弘
    2005 年 20 巻 p. 137-140
    発行日: 2005/12/01
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    ジオシンセティックスを用いた補強土工法や軽量土工法は,軟弱地盤や斜面上に盛土を行う際に発生する問題点を解決する手法として用いられている.通常,これらの対策工法の中から,要求特性に対する各工法の性能比較により,単一の工法のみが選択される.しかし,今後の工事においては,さらなるコスト縮減が目標となることから,単純にどちらかを選択するのではなく,両工法の特徴を生かした新たな併用工法(軽量補強盛土など)の構築が必要となるものと考えられる.ここでは,既に行われている軽量土と補強土工法の併用例を示すとともに,今回開発した可搬型の多目的混合機の紹介を行う.また,これまでに実施した気泡混合土と繊維などを組合せた実験例や得られた特性の報告と今後考えられる新たな併用例の方向性について記述する.
  • 近藤 三樹郎, 狩野 真吾, 小田 勝也, 渡辺 克也, 永治 勇吉
    2005 年 20 巻 p. 141-149
    発行日: 2005/12/01
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    ジオメンブレンの折れ曲がり現象はジオメンブレンの強度的損失をもたらす現象とみられるにも関わらず,今まであまり問題視されずまた過去の研究も少なかった,折れ曲がり現象は通常1回折りの現象が多いが,1回折れ曲がりの延長線上にはさらに2回折りが存在する.この2回折りの部分は特に安全性に疑問が持たれていた.本研究はジオメンブレンの安全性を向上させるために実験により性能確認した研究である.今回,ジオメンブレン各種の材料を対象に水圧膨張実験を通して特性を検討した.その結果,折れ曲がりの影響が顕著である材料も存在することが確認できた.また求められた特性が一軸引張試験における応力ひずみ曲線との関係から言及できることがわかった.
  • 中山 裕文, 島岡 隆行, 山王 尚久
    2005 年 20 巻 p. 151-157
    発行日: 2005/12/01
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    最終処分場の埋立地に敷設される遮水シートは、温度変化によって伸縮し、熱応力が発生する。温度低下に伴うシートの収縮時には、シート端部の固定工部分が破損する事故がしばしば発生している。また、熱応力による伸縮が大きい部位は、疲労によりシートの材質劣化が早まると考えられる。従来、遮水シートに発生する熱応力は歪ゲージ等を用いて測定される。しかし、遮水シートの温度は場所によって均一でないため、歪ゲージでは広域かつ面的な状況を把握することが困難である。この課題を解決するための一つの方法として、熱赤外線画像装置を用いて遮水シートの面的な温度分布の変化を捉え、それによって熱応力を推計する手法が考えられる。本研究では、室内模擬実験を行い、熱赤外画像装置で測定した遮水シートの表面温度変化を条件として用いて、有限要素法によって応力を算出し、計算結果と歪ゲージで実測した値を比較、考察した。さらに、埋立地全体の遮水シートのモデルを作成し、熱応力の日変化を推計した。
  • 原田 高志, 中居 伸吾, 柏木 哲也, 平石 哲夫, 今泉 繁良
    2005 年 20 巻 p. 159-166
    発行日: 2005/12/01
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    廃棄物最終処分場に敷設させる遮水シートには、温度変化に伴う熱応力、廃棄物の圧縮に伴う引き込み力、基盤の沈下に伴う伸び変形などが生じる。これらの挙動を把握するために、箔ひずみゲージでのシートに発生するひずみ計測が行われつつある。しかし、シートは通常、ひずみゲージの基材に比べて弾性係数が低いため、ひずみゲージが付着した部分は周辺の伸縮より小さく、ひずみゲージによる計測ひずみは実ひずみよりも小さいものとなる。本研究では、まず室内試験として、ひずみゲージを貼り付けた種々のシートの伸張試験を実施して、その画像解析によるひずみ値とひずみゲージによるひずみ値との比較を行った結果を述べる。また、ひずみゲージ及び接着剤の温度変化履歴に伴うゼロ点移動の現象について述べる。そして、大規模模擬処分場に敷設されたシートの温度変化に伴う発生ひずみを、ひずみゲージで計測した結果とその評価について述べる。
  • 柏木 哲也, 原田 高志, 村山 典明, 今泉 繁良
    2005 年 20 巻 p. 167-170
    発行日: 2005/12/01
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    廃棄物最終処分場向けに製造される遮水シートは,通常,製品幅2~6m,巻き長さ10~50m程度であるため現場での接合が不可欠である.従来の加硫ゴム系遮水シートは接着剤による接合であったが,最近では熱融着可能な遮水シートが主流である.熱融着接合の遮水シートに関して,現場では,せん断強度が低下しないように熱風温度と融着速度および圧着力を管理して接合作業が実施されている.本研究では,種々の遮水シートに対して,接合幅を変化させた長方形供試体を用いて,せん断試験とはく離試験を実施した.また,これらの結果を遮水シートの引張強度等と比較し接合幅のあり方についての基礎的考察を行った.
  • 渡嘉敷 勝, 石神 暁郎, 高橋 晃, 森 充広, 増川 晋, 長束 勇
    2005 年 20 巻 p. 171-176
    発行日: 2005/12/01
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    近年,農業用水路では,劣化などにより低下した機能の回復・向上を目的とした種々の補修・補強工法の開発・適用が進められている.筆者らは,主に漏水などの対策として,遮水性能に優れるジオメンブレンを活用した補修工法の開発を行っている.ジオメンブレンは,フィルダムや貯水池の表面遮水などに多くの実績を持つが,主として静水中での使用を想定している場合が多く,農業用水路のような流水中に晒されることを想定した性能評価については,十分になされていない.本報では,ジオメンブレンをコンクリート製農業用水路の漏水補修に適用した工法について,耐摩耗性や水路目地への追従性など,農業用水路の要求性能,施工条件および曝露条件を想定した性能評価を実施したので,その結果を報告する.
  • 勝見 武, 石森 洋行, 小河 篤史, 花本 和義, 深川 良一
    2005 年 20 巻 p. 177-184
    発行日: 2005/12/01
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    極めて高い遮水性能が求められる廃棄物処分場の遮水工として,ジオシンセティッククレイライナー(Geosynthetic Clay Liner; GCL)は有力な遮水材料の一つと考えられている.GCLの高い遮水性はスメクタイトの著しい水和膨潤特性によるものであるが,化学物質を含む電解質溶液に対してはこの水和膨潤が阻害される可能性があり,遮水性能の低下が懸念される.こうした背景から本研究では,NaCl,CaCl2およびKClの単一または混合溶液を用いてGCLの長期透水試験(最長で約3年間)を行った.その結果,GCLの遮水性能を低下させる化学物質成分は,KCl>CaCl2>NaClの順に著しい影響を示した.
  • 狩野 真吾, 小田 勝也, 近藤 三樹郎
    2005 年 20 巻 p. 185-192
    発行日: 2005/12/01
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    遮水シートを用いた遮水工を有する管理型廃棄物埋立護岸について,遮水シートの敷設面に陥没や空隙が発生した場合の遮水シートの変形破断挙動を検討するため,ポリ塩化ビニル(PVC)製シートの水圧膨張実験を行った.内径の異なる2種類の水圧釜を用いた結果,最大水圧や破断時水圧,破断時膨張変位が水圧釜の大きさによって変化し,水圧-膨張変位曲線にはスケール効果の影響が顕著に現れた.一方,シート取付部で発生する応力とシートの変形形状が球状と仮定して計算したひずみの関係を示した応力-ひずみ曲線ではスケール効果の影響がある程度小さくなり,さらにシート天頂部における応力-ひずみ曲線では応力は水圧釜の内径の大きさに依存しないことが明らかになった.
  • 小竹 望, 平田 昌史, 赤井 智幸, 馬渕 伸明, 西村 正樹, 山本 正人, 石川 雅英, 嘉門 雅史
    2005 年 20 巻 p. 193-198
    発行日: 2005/12/01
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    廃棄物海面処分場に用いる変形追随性を有する土質系遮水材料の開発を目的として,浚渫粘性土に固化材と線状高分子材料を混合した不透水性材料の基本性能を評価した.本研究では線状高分子材料としてPVA繊維を用いて,種々の配合について一軸・三軸圧縮試験および透水試験を実施した.その結果,強度変形特性と透水性について以下の点が確認された.繊維混合の効果は,特にポストピークに大きく現われ,固化処理土の靭性を向上させる.この効果は,繊維が長いほどあるいは細いほど大きく現われる。高含水比粘性土と貧配合の固化材および靭性が十分に発揮される繊維量を混合した場合でも透水係数はk=1.0×10-6cm/s以下となった.
  • 李 明飛, 今泉 繁良
    2005 年 20 巻 p. 199-204
    発行日: 2005/12/01
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    欧米の最終処分場は平地に建設され,廃棄物が盛り立てられることが多いが,日本では平坦地での用地確保が困難なことから山間地に建設されることが多く,遮水工の滑落を防止するための強固な固定工が必要となる.本研究では,上部保護マット・遮水シート・下部保護マットからなる遮水工に関して,斜面傾度を1:0.5~1:2.0と4段階に変化させた処分場模型に対して遠心載荷実験を実施し,斜面傾度が廃棄物の圧縮に伴い生じる遮水シート等の固定端張力に与える影響を評価した.また,遮水シートと保護マットの応力-ひずみ関係を弾性体,廃棄物の応力-ひずみ関係とジョイント要素の摩擦力度-相対変位関係を双曲線近似した有限要素法による解析を実施した.その結果,斜面傾度が急になると遮水シートの固定端張力が減少する傾向が分かった.
  • 弘中 淳市, 具 相仁, 大谷 順, 平井 貴雄
    2005 年 20 巻 p. 205-210
    発行日: 2005/12/01
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    軟弱地盤上に道路盛土などを造成する際に,不同沈下を抑制することを目的として深層混合処理工法に代表される改良柱体とジオグリッドを併用する工法が採用されている.本工法の特長は,改良柱体上にジオグリッドを敷設することにより,改良柱体間の未改良地盤に盛土荷重を直接作用させることなく改良柱体に伝達させる荷重分担効果が発揮されるため,低改良率施工を可能とするものである.そこで,この荷重分担効果をより効果的に発揮させるためには,ジオグリッドを敷設した際の地盤内挙動を非破壊かつ3次元的にモデル化し,定量的に把握することが重要であると考える.本報では,研究の第一ステップとして模型地盤の強制沈下実験を実施し,杭頭地盤の挙動をX線CTスキャナにて非破壊検査することにより,ジオグリッドによる荷重分担現象について報告する.
  • 弘中 淳市, 平井 貴雄, 谷津 淳
    2005 年 20 巻 p. 211-216
    発行日: 2005/12/01
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    軟弱地盤の表層部にジオグリッドと中詰材(砕石)を用いて立体的かつ盤状に組み立てられた構造体を設置するマットレス工法は,荷重分散およびジオグリッドと中詰材が一体化した構造体のせん断抵抗力により,基礎地盤の支持力の改善を目的として用いられている.また,本工法の設計では,マットレス上部に載荷される荷重は等分布荷重を前提としているが,一般に逆T型などのコンクリート擁壁は,背面裏込め部からの水平土圧が作用するため擁壁下の荷重分布は偏荷重となる.そこで,本研究ではこの偏荷重の影響をより忠実に設計へ反映させるために,軟弱地盤の表層部に設置した実物大のマットレス構造体の載荷実験を実施し,各種計測によりその補強効果および偏荷重下における荷重分散効果について検討した.
  • 澤田 豊, 河端 俊典, 北野 知洋, 内田 一徳, 平井 貴雄, 斉藤 喜久雄
    2005 年 20 巻 p. 217-222
    発行日: 2005/12/01
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    圧力管曲部に発生するスラスト力に抵抗するために通常,曲管部にコンクリート製ブロックを設けるが,これらの従来工法では,曲管部が重量構造物となり,局部沈下や地震時の位相差による継手離脱の誘因となる.
    本研究では,この従来工法に変わる新たな工法として,ジオグリッドを用いたスラスト防護工法を考案し,その実用性を図る.これまで,∅90の模型パイプを対象とした水平載荷模型実験から当工法の有効性を明らかにした.今回,当工法の抵抗メカニズムを検討するため,個別要素法による数値解析を実施した.さらに模型実験において地表面粒子挙動をPIV(粒子画像測定法)解析から検討した.数値解析および画像解析結果から,ジオグリッドで囲まれた領域およびその上方地盤が一体化することが明らかとなった.
  • 加賀 宗彦, 原田 道幸
    2005 年 20 巻 p. 223-228
    発行日: 2005/12/01
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    補強土壁面の変形の予測が可能かどうかを検討している.これまでの研究で,細砂と不織布を使用した補強土壁をモデル化した室内実験では,実際の変形量と予測値がほぼ一致することがわかった.これより,提案している力学モデルは,補強土壁の変形の予測に利用できる可能性があると判断した.次のステップとしては,実験条件を変えたデータの蓄積が必要と考えた.そこで,実験装置を大型化し,またヤング率の大きいジオテキスタイルを使用した実験を行った.結果として,補強士壁面やジオテキスタイルのヤング率が大きくなっても,実験で得た実際の変形量と予測値はほぼ一致した.また,この力学モデルで補強士壁面に連結された2種類のジオテキスタイルのひずみ分布の予測も行った.これらの結果は,変形を考慮した補強土壁の設計法や変形の抑制法の開発に役立つと考えられる.
  • 平川 大貴, 龍岡 文夫, Warat KONGKITKUL
    2005 年 20 巻 p. 229-234
    発行日: 2005/12/01
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    ポリエステルジオグリッドを敷設して補強した水平地盤の支持力特性における粘性挙動を標検討するため、無補強の豊浦砂地盤と補強砂地盤の室内平面ひずみ模型載荷実験を行った。以下の知見を列挙する。1)地盤の基礎鉛直初期載荷に対する剛性と最終支持力は引張り補強によって大きく増加するが、弾性的剛性も若干増加する。2)弾性的剛性は、補強の有無によらず基礎接地圧の増加に対してべき乗則に従って増加する。3)補強の有無によらず、地盤の支持力特性には載荷速度依存性がありクリープ変形を示し、全体的な弾粘塑性挙動は材料のものと類似である。4)一定沈下速度での単調載荷の途中で沈下速度を急変させると基礎平均接地圧と底面での局所接地圧は急変する。沈下速度の変化比の対数に対する基礎接地圧の変化率の比を速度感応係数βと定義すると、その値は無補強と補強地盤で類似であり豊浦砂の三軸圧縮試験から得た値とも類似であるが、補強材(ポリエステル)の引張り試験から得た値よりも遙かに小さかった。5)詳細にみると、側方伸びひずみに対する拘束が強い場合ほどβの値は小さくなる傾向にあることから、豊浦砂のβの値に対する応力経路の影響があることが示唆された。これらの実験結果は、砂とジオグリッドの弾粘塑性を表現できる非線形三要素モデルに基づいた数値解析によって、補強砂地盤の載荷に伴う即時沈下の載荷速度依存性と荷重保持載荷による残留沈下を予測可能であることを示している。
  • 野尻 峰広, 相澤 宏幸, 住吉 卓, 平川 大貴, 龍岡 文夫
    2005 年 20 巻 p. 235-240
    発行日: 2005/12/01
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    都内U型形状の半地下構造RC擁壁において、主働側に残留水平変位が数年に亘って継続的にかなり増加した。模型実験の結果も総合して考えると、この現象は、RC擁壁に大気温の繰返し変動による熱膨張収縮のために繰返し水平変位が生じて、このために壁面に作用する土圧が増加するためであると推測された。擁壁の繰返し水平変位によって土圧が増加するのは、(1)盛土が弾塑性的に非可逆変形するとともに、(2)粘性と繰返し載荷により主働側に残留変位が進行し、(3)繰返し載荷により盛土の剛性が増大するためと推察された。室内模型実験によって、剛な一体壁面工の背面に結合した高分子ジオグリッド補強材を盛土内に水平に敷設する工法の効果を検討した。この工法により、壁面工が繰返し水平変位しても盛土内の主働すべり面の発生を抑制して盛土天端での残留沈下を防ぎ、また壁面工を土圧増加に対して構造的に強化し、仮に土圧が増加した場合でも壁面工の残留主働変位を抑制できることが分かった。この工法は、新設の擁壁に有効であると考えられる。
  • 梅崎 健夫, 河村 隆, 落合 英俊
    2005 年 20 巻 p. 241-248
    発行日: 2005/12/01
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    アルミ棒積層体を用いた引抜き試験を実施し,密な供試体においては補強材の引抜きに伴って鉛直応力が増加すること,鉛直応力の増加は補強材周辺の局所的な変形に起因していること,を示した.また,試験中に撮影した供試体の写真を用いて画像解析を実施し,引抜きに伴う鉛直応力増分の分布は指数関数で近似でき,補強材周辺で最大となり補強材から離れるほど減少することを示した.試験結果に基づいて,補強土構造物のすべり破壊における地盤内の鉛直応力増分Δσvとそれに伴うすべり面上の垂直応力増分Δσn(=Δσvcosα)の分布をモデル化して示した.このことは,せん断強度がΔτD=Δσntanφだけ増加することを評価したものである.さらに,補強材を引抜きながら供試体の二軸圧縮を行う二軸圧縮・引抜き試験を実施した.その結果に基づいて,補強材の引抜きが生じた場合にはせん断強度が増加することを示し,提案した補強メカニズムを実証した.
  • 遠藤 大輔, 金子 賢治, 堀江 征信, 鈴木 利和, 山田 泰弘, 熊谷 浩二
    2005 年 20 巻 p. 249-256
    発行日: 2005/12/01
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    環境や景観に配慮した切土斜面の補強・保護を目的として,ジオセルを用いた工法が日本国内においても実用化されつつある.本論文で対象とするジオセル工法は高密度ポリエチレン樹脂製のセル内に充填材を入れ積み上げた複合構造体により斜面の補強を行うものであるが,ポリエチレンと充填材からなる非均質構造であるため力学的挙動が複雑でその特性は明らかになっていない.そのため,現状においては充填材として安全面に配慮し砕石や砂といった比較的良質な地盤材料が用いられている.本論文では,環境およびコスト面を考慮し,主に充填材として発生土を有効利用したジオセル斜面補強工法の確立を目指して行ったセル単体の引き抜き抵抗試験,圧縮試験などについて報告する.
  • 藤谷 佳治, 荒井 克彦, 鈴木 耕平, 横田 善弘, 間 明徳
    2005 年 20 巻 p. 257-262
    発行日: 2005/12/01
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    道路の防護柵支柱に自動車などからの衝撃荷重が作用する際の地盤の挙動には不明確な部分が多い。一方、近年では防護柵の支柱部分に補強土工法を用いて、耐衝撃性を向上させる方法が検討されている。しかしながら、従来の防護柵支柱の設計法では、地盤や補強材の剛性や強度は考慮されておらず、補強材による補強効果を評価する方法が確立されていない。そこで本研究では、補強土工法を用いた防護柵の土中埋め込み式支柱に、水平方向の静的及び衝撃荷重を作用させる室内模型実験を行った。さらに、模型実験を対象とした3次元FEM解析を行い、補強材の効果を考慮した防護柵支柱の設計法について検討した。
  • 平川 大貴, 龍岡 文夫, W. Kongkitkul
    2005 年 20 巻 p. 263-270
    発行日: 2005/12/01
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    ジオテキスタイルの引張りクリープ試験でのクリープ速度を加速してクリープ破断が生じるまでの時間を短縮する方法として、時間-温度重畳試験法(TTS)と段階等温度試験法(SIM)が提案されている。前者では、複数の試料を用いて、異なる温度で一定速度での単調載荷に引き続いて一定の引張り荷重で持続載荷を行う。後者では、一つの試料を用いて一定の引張り荷重での持続載荷の途中で段階的に温度を上昇させる。これらの結果から、系統的な実験によって得られたデータによって証明されている所定の仮定に基づいた方法を用いて、一定の温度の下における非常に長期に亘るクリープひずみの時刻歴を求める。これらの試験結果を一貫して説明できる構成モデルは提案されていない。本研究では、粘性による載荷速度効果とともに温度上昇による剛性と強度の低下が考慮できる構成モデルを開発して、このモデルによる数値解析によって、これらの実験結果を再現できることを示した。温度上昇効果は負の年代効果と等価であるとして、非粘性荷重~ひずみ関係における剛性と強度の低下でモデル化した。
  • 拘束効果の地盤内分布を考慮した分割法およびウェッジ法
    河村 隆, 梅崎 健夫, 落合 英俊
    2005 年 20 巻 p. 271-278
    発行日: 2005/12/01
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    補強材の引抜きに伴い地盤内に局所的な変形が生じ,地盤内の拘束圧が局所的に増加することを実験的に示している.本文では,補強土構造物の内的安定計算を想定し,補強材の引抜き挙動を考慮した拘束効果の地盤内分布モデルを提案する.そして,提案した分布モデルを導入した補強土構造物の内的安定に関する安全率算定式を誘導した.対象とした設計法は,(1)分割法に基づく土研センターマニュアルおよび(2)2ウェッジ法に基づくRRR-B工法設計・施工マニュアルの2つである.拘束効果を導入するために,拘束効果の分布モデルを近似・平均化する手法を示した.そして,既往の実物大崩壊実験の結果を用いて,提案法による安全率の妥当性を検証した.
  • 安福 規之, 落合 英俊, 金重 正浩, 河村 隆
    2005 年 20 巻 p. 279-286
    発行日: 2005/12/01
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    ジオグリッド補強土における補強効果のうち、現行設計法で考慮されている引張補強効果以外の補強効果として拘束効果の存在が指摘され、この効果を適切に反映した設計法の検討が進められている。
    著者らは、拘束効果をすべり面上の垂直応力を増加させる効果ととらえ、補強土のせん断強度に反映させる方法を示している。また、一方で拘束効果は、土のダイレタンシーを抑制することによって発揮される補強効果でもあるとし、拘束効果とダイレタンシー特性の関連性を示している。本論文では補強土のせん断強度に反映されている拘束効果と拘束効果を同定するためのダイレタンシー特性とを関連づけた算定式について考察を加えた。また、個別要素法によって解析的に拘束効果を観察し、補強材の長さと拘束効果について言及した。さらに、拘束効果を急勾配補強盛土の現行設計法に導入する方法を示し、補強材削減割合を求めることで提案した設計法の合理性について言及した。最後に、ここでの拘束効果の考え方について、地盤材料の特性と補強材の敷設間隔に関連づけて考察した。
  • 原 健二, 桝尾 孝之
    2005 年 20 巻 p. 287-294
    発行日: 2005/12/01
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    現在,ジオテキスタイルを用いた補強土工法の設計法について,信頼性設計法への適応性が評価されている.ここでは,ジオグリッド補強材を取上げ,設計で用いる重要な特性値の一つである引張強度についてISOジオテキスタイル試験規格にて引張試験を行い,得られたデータを平均値,標準偏差などの基本的な確率論を用いて整理し,ジオグリッド補強材の引張強度のバラツキを調査する.また,引張試験で得られた結果が材料の特性値に及ぼす影響を検討する.
  • 吉田 眞輝, 竜田 尚希, 西田 陽一, 井上 昭一, 八嶋 厚, 沢田 和秀, 森口 周二
    2005 年 20 巻 p. 295-300
    発行日: 2005/12/01
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    近年、土とジオテキスタイルを使用した補強土による「補強土防護擁壁工」が落石対策を主に実績が増えてきている。この工法は土の柔軟性による衝撃緩和効果と補強土の耐力(強さ)を併せ持ち,広範囲のエネルギー(100~5000KJ以上)に対応できるとともに、現地発生土や流用土を使用することでコスト削減にも努める工法である。過去、落石に対する実用性の試験を数回実施しているが、今回の実験では急傾斜地における土砂崩壊を想定して、実物大モデルに石及び土砂を衝突させて補強土防護擁壁の耐久性を確認した。実験では2つのタイプによる防護壁を構築した。本編では実験モデルの構造・施工方法および計測結果について報告する。
  • 吉田 浩一, 久保 哲也, 南 和弘
    2005 年 20 巻 p. 301-304
    発行日: 2005/12/01
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    近年,用地縮小化に伴い盛土法面の急勾配化が要求されおり,壁面を垂直にする補強土壁が数多く開発されている.補強土壁は,急峻な地形での施工,現地発生土の使用など厳しい条件の下で施工されることが多い.最近では.中越地震など自然災害による補強土壁の変状が確認されている.ここでは、中越地震によるジオテキスタイルを用いた補強土壁の被災状況の調査結果と,二重壁構造を有する補強土壁によって復旧した国道17号線の施工事例を報告する.また,実物大の補強土壁を対象として,壁面材の補修実験を行った事例も紹介する.
  • 竜田 尚希, 吉田 浩一, 横田 善弘, 八嶋 厚
    2005 年 20 巻 p. 305-308
    発行日: 2005/12/01
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    これまでジオグリッドを用いた補強土壁の内的応力を検証するために,ジオグリッドの表面にひずみゲージを貼り付ける手法が多く使用されてきた.しかし,ひずみゲージには,問題点が多くある.土中に全面に敷設されるジオグリッドに対して,離散的にしか計測を行えず,ある程度の傾向を導き出すためには,数多くのひずみゲージを使用することになり,配線が煩雑となり計測費用も大きくなりがちである.土の中でのひずみゲージの寿命も水の影響などにより2~3年程度である.
    これらの問題点をすべて解消することが可能な,光ファイバーを利用して補強土壁内部のジオグリッドを計測することを試みた.本論文では,現場での適応結果を報告する.
feedback
Top