抄録
最終処分場の埋立地に敷設される遮水シートは、温度変化によって伸縮し、熱応力が発生する。温度低下に伴うシートの収縮時には、シート端部の固定工部分が破損する事故がしばしば発生している。また、熱応力による伸縮が大きい部位は、疲労によりシートの材質劣化が早まると考えられる。従来、遮水シートに発生する熱応力は歪ゲージ等を用いて測定される。しかし、遮水シートの温度は場所によって均一でないため、歪ゲージでは広域かつ面的な状況を把握することが困難である。この課題を解決するための一つの方法として、熱赤外線画像装置を用いて遮水シートの面的な温度分布の変化を捉え、それによって熱応力を推計する手法が考えられる。本研究では、室内模擬実験を行い、熱赤外画像装置で測定した遮水シートの表面温度変化を条件として用いて、有限要素法によって応力を算出し、計算結果と歪ゲージで実測した値を比較、考察した。さらに、埋立地全体の遮水シートのモデルを作成し、熱応力の日変化を推計した。