抄録
clear cell meningiomaは時に臨床的悪性像や高い増殖能を呈するmeningioma variantの一つである.しかし, 詳しい臨床像や病理学的特徴ははっきりしていない.今回われわれは, sphenoidal ridge clear cell meningiomaの1例を経験し, その増殖能について免疫組織学的に検討した.MIB-1 SIはmeningothelialな部分で7〜10%と高く, clear cellでは3〜4%程度であり、腫瘍組織全体の画像解析でもその差は明らかだった.また, clear cellではCD-68が強陽性で, TGF-α、PgRも強く染色された.以上より, clear cell meningiomaにおける臨床的悪性度は, clear cell自体ではなく, meningothelialな部分が本来もっている増殖能による可能性が示唆された.またclear cellで特異的にCD-68やTGF-α, PgRが染色されたことは, clear cell meningiomaのなかのmeningothelial cellが, clear cellから放出された増殖因子によりコントロールされている可能性を示唆していると考えられた.こうした結論がそのままclear cell meningioma全体にあてはまるとは限らないが, 今後のclear cell meningiomaのaggressivenessの解明につながると考えられた.