脳神経外科ジャーナル
Online ISSN : 2187-3100
Print ISSN : 0917-950X
ISSN-L : 0917-950X
Sphenoidal ridge clear cell maningiomaの1例 : 増殖能に関する免疫組織学的検討
保格 宏務長島 梧郎鈴木 龍太浅井 潤一郎藤本 司
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2001 年 10 巻 5 号 p. 358-363

詳細
抄録
clear cell meningiomaは時に臨床的悪性像や高い増殖能を呈するmeningioma variantの一つである.しかし, 詳しい臨床像や病理学的特徴ははっきりしていない.今回われわれは, sphenoidal ridge clear cell meningiomaの1例を経験し, その増殖能について免疫組織学的に検討した.MIB-1 SIはmeningothelialな部分で7〜10%と高く, clear cellでは3〜4%程度であり、腫瘍組織全体の画像解析でもその差は明らかだった.また, clear cellではCD-68が強陽性で, TGF-α、PgRも強く染色された.以上より, clear cell meningiomaにおける臨床的悪性度は, clear cell自体ではなく, meningothelialな部分が本来もっている増殖能による可能性が示唆された.またclear cellで特異的にCD-68やTGF-α, PgRが染色されたことは, clear cell meningiomaのなかのmeningothelial cellが, clear cellから放出された増殖因子によりコントロールされている可能性を示唆していると考えられた.こうした結論がそのままclear cell meningioma全体にあてはまるとは限らないが, 今後のclear cell meningiomaのaggressivenessの解明につながると考えられた.
著者関連情報
© 2001 日本脳神経外科コングレス

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 - 改変禁止 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top