脳神経外科ジャーナル
Online ISSN : 2187-3100
Print ISSN : 0917-950X
ISSN-L : 0917-950X
最新号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
特集 みらいを救う脳神経外科手術—解剖に基づいた脳神経の温存—
  • 中尾 直之
    2019 年 28 巻 7 号 p. 386-390
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/07/25
    ジャーナル フリー

     前頭蓋底腫瘍摘出術において嗅神経の機能が低下または喪失する危険性が生じる局面は①手術アプローチに際しての嗅神経温存操作と, ②前頭蓋底腫瘍摘出時の剝離操作などに大別できる. 嗅神経温存操作が必要な手術アプローチは, ①正中から傍鞍部に到達するbilateral subfrontal approachやinterhemispheric approachや, ②篩板を経由して鼻腔・副鼻腔に到達するtransbasal approachなどがある. 一方, 前頭蓋底腫瘍との剝離操作では, まず腫瘍の十分な内減圧を行い, 鋭的または鈍的に腫瘍から嗅神経を剝離する. これらの手術操作における嗅神経温存の注意点や工夫について解説する.

  • 堀内 哲吉
    2019 年 28 巻 7 号 p. 391-397
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/07/25
    ジャーナル フリー

     傍鞍部内頚動脈瘤外科治療の多くは, 血管内で施行されている. しかし, 全例において血管内治療が可能ではなく, 直達治療が必要な症例が存在する. 傍鞍部周囲には視神経などの重要構造物があり, 局所解剖の知識が必要である. 直達手術においては, 視野欠損や視力低下などの合併症が問題となるが, そのメカニズムは不明な点が多い. 本稿では, 視神経・視交叉への血流障害の観点から眼動脈ならびに上下垂体動脈について解説を行った. また, 実際の直達治療方法についても提示した.

  • 後藤 剛夫, 大畑 建治
    2019 年 28 巻 7 号 p. 398-406
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/07/25
    ジャーナル フリー

     海綿静脈洞部腫瘍に対する治療としては定位放射線治療の役割が大きい. しかし放射線照射後の再発や症候性腫瘍ではときに外科的切除が必要になることがある. 海綿静脈洞部髄膜腫, 軟骨肉腫の2つの疾患について解剖学的特徴を踏まえた腫瘍切除について解説した. 髄膜腫については後方から腫瘍に到達する最小合併経錐体到達法が有用であった. また内側海綿静脈洞部髄膜腫, 海綿静脈洞部軟骨肉腫は経鼻内視鏡手術での摘出が有用であった. 手術適応をよく検討すれば, 動眼, 滑車, 外転神経機能を温存して腫瘍減圧ができることを説明した.

  • 戸田 正博, 田村 亮太, 吉田 一成
    2019 年 28 巻 7 号 p. 407-413
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/07/25
    ジャーナル フリー

     三叉神経は, 神経根 (脳槽), 三叉神経節から眼神経, 上顎神経, 下顎神経に分枝した部位 (Meckel腔~海綿静脈洞), それぞれの分枝が眼窩, 翼口蓋窩, 側頭下窩に分布する部位 (頭蓋外) に大別される. 神経鞘腫はいずれの部位からも発生するが, 好発部位はMeckel腔であり, 後頭蓋窩に進展してダンベル型を呈すことが多い. 手術アプローチは腫瘍発生部位に応じて, 海綿静脈洞部はfrontotemporal approach, Meckel腔はsubtemporal approach, 後頭蓋窩はanterior petrosal approachあるいはlateral suboccipital approach, 眼窩はsupraorbital approachなど, 翼口蓋窩, 側頭下窩はzygomatic infratemporal approachが行われる. さらに最近ではMeckel腔, 翼口蓋窩, 側頭下窩に対してendoscopic endonasal approachが行われている. まれな腫瘍であるが, アプローチ選択が重要であり, 三叉神経温存のための工夫が求められる.

  • 松島 健, 河野 道宏
    2019 年 28 巻 7 号 p. 414-423
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/07/25
    ジャーナル フリー

     聴神経腫瘍の治療戦略は多岐にわたり, その中で摘出術の役割も, かつての 「救命」 から 「顔面神経機能の温存」 さらに 「聴機能の温存」 と急速な進歩を遂げ, 手術にあたり要求される技能は複雑化している. しかし, 特にこの頭蓋底深部に脳神経・血管が密集する小脳橋角部の治療において, 変わらずその根底を支えるのは正しい微小外科解剖の知識とそれを基盤とした臨床解剖の把握と考える. 本稿では, 聴神経腫瘍手術における顔面・聴神経の温存を目標として, 小脳橋角部の微小外科解剖および聴神経腫瘍の臨床解剖を概説した.

  • 鰐渕 昌彦
    2019 年 28 巻 7 号 p. 424-430
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/07/25
    ジャーナル フリー

     頚静脈孔神経鞘腫はまれであり, 発生頻度は頭蓋内神経鞘腫の2.9%に過ぎない. 腫瘍の主座により, 硬膜内, 側頭骨内, 頭蓋外, ダンベル型に大別されるが, 頚静脈孔内に腫瘍が存在していることが多いため, 手術をする際には硬膜外の解剖を熟知している必要がある. 手術を念頭に頚静脈孔周囲の解剖について解説し, アプローチの詳細と手術成績について述べる.

     解剖学的にはmastoid内の構造物に加え, 環椎横突起に4つの筋肉, 上頭斜筋, 下頭斜筋, 外側頭直筋, 肩甲挙筋が付着していること, 舌咽神経, 迷走神経, 副神経は, 頚静脈球の内側で屈曲しながら頭蓋外へと走行し, 腹側には内頚動脈が存在していることを理解しておく.

     頚静脈孔神経鞘腫の摘出は, transjugular approachにhigh cervical exposureを組み合わせて行っている. 硬膜内腫瘍は全摘出し脳槽部での神経圧迫を解除し, 硬膜外腫瘍は被膜内摘出に留め, 腫瘍周囲を走行する神経ならびに内頚動脈を温存している. この方法により腫瘍の発生母地となっている神経の機能を温存・改善させることは困難であるが, 腫瘍の圧迫により惹起されている症状は軽快する傾向があった.

     頚静脈孔神経鞘腫を手術するためには, 微小解剖を熟知し, 硬膜内腫瘍は被膜ごと, 硬膜外腫瘍は被膜内摘出に留めることで, 腫瘍の圧迫により出現している症状を改善することができると考えられた.

温故創新
症例報告
  • 藤原 勇太, 瀧川 晴夫, 阿武 雄一
    2019 年 28 巻 7 号 p. 433-437
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/07/25
    ジャーナル フリー

     慢性硬膜下血腫の再発因子として高齢や抗凝固薬の内服などが報告されているが, 硬膜動静脈瘻が再発に関与したとする報告は数少ない. われわれは, 慢性硬膜下血腫の再発に硬膜動静脈瘻の関与が示唆された症例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する.

     症例は86歳の男性. 左片麻痺で来院し, 頭部CTで慢性硬膜下血腫を認め, 穿頭洗浄術を行った. その後2度の再発があり, 中硬膜動脈塞栓術を行った際に同側の横静脈洞に硬膜動静脈瘻が確認された. その後も再発があり硬膜動静脈瘻塞栓術を行ったところ, 慢性硬膜下血腫は再発なく経過している.

     慢性硬膜下血腫は日常診療でよく遭遇する疾患であるが, 再発を繰り返す場合は硬膜動静脈瘻の併存も考慮すべきである.

イラストであらわす手術記録
feedback
Top