脳神経外科ジャーナル
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最新号
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特集 多様な脳神経外科関連領域との協調
  • 木下 学, 貴島 晴彦
    2023 年 32 巻 9 号 p. 556-561
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/08/25
    ジャーナル フリー

     研究室レベルであったAI技術に関する研究がこの10年で急速に進歩し, 今や実生活に大きな変化をもたらしている. しかしながらこの技術は医療現場のワークフローも変革させることが期待されているものの, 脳神経外科領域ではまだ目立った貢献が実感されていないところである. 本稿は今後AIが脳神経外科領域でどのように応用されていくのかを意識しながら, AIを支えている基礎的な理論から具体例までを解説することを目的とする.

  • 飯原 弘二
    2023 年 32 巻 9 号 p. 562-567
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/08/25
    ジャーナル フリー

     脳神経外科の研究において, 「ビッグデータ」 を利用することはますます重要になってきている. 臨床データベースには, 汎用型データベースと, 脳神経外科に特化したデータベースが存在する. 近年, これまでなかった新しいタイプの生命医療情報が, 急速な勢いで産生され蓄積しつつある. リアルワールドデータが収集できるようになると, これまでのランダム化比較試験の限界が指摘されるようになり, 臨床の現場で知見を生成するlearning health systemや, レジストリーに基づいたランダム化試験が注目されるようになった. 今後, ビッグデータに基づくAI医療, デジタル医療が加速度的に発展していくであろう.

  • 高柳 俊作
    2023 年 32 巻 9 号 p. 568-576
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/08/25
    ジャーナル フリー

     日本でもがんゲノム医療体制の整備が急速に行われ, それに伴いゲノム医療が注目されるようになってきた. しかし, ゲノム医療は多様な分野が含まれさまざまな倫理的課題が含まれている. たとえば, ゲノム医療には個人情報が関わるため差別や情報保護に注意しなくてはいけない. また, がん遺伝子パネル検査, DTC検査, NIPTなど最近注目されているゲノム検査では予想した結果とは異なる検査結果が出て, 患者に強い心理影響を与える可能性がある. したがって, ゲノム医療の実施に関しては適切な規制や遺伝カウンセリングの体制が必要である. 今後はさらなるゲノム医療の推進のために, ゲノム教育の推進, 地域格差の解消などの取り組みが重要である.

  • 滝田 順子
    2023 年 32 巻 9 号 p. 577-582
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/08/25
    ジャーナル フリー

     思春期・若年成人 (adolescents and young adults : AYA) 世代は身体的にも精神的にも子どもから大人へ急速に成長する時期であり, 進学, 就職, 結婚など特別なライフイベントを経験する時期でもある. またこの世代の特性から, 診療を行ううえでさまざまな課題がある. 小児病棟で加療を受けるAYA世代がん患者における調査研究の結果, 病院スタッフが, コミュニケーションの難しさや妊孕性温存に関する対応などさまざまな問題を抱えていることがわかった. また患者自身は, ライフイベントに対する不安を強く感じており, 相談相手が少ないといった悩みを抱えていることも明らかとなった. これらの課題を理解したうえでAYA世代患者には多職種の対応が肝要と考えられる.

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