抄録
A1,M1部のfenestrationに動脈瘤を合併した3手術症例を経験した.手術戦略を考える際,窓形成(fenestration)を示す血管と動脈瘤の関係を描出するのに,3D-angiographyが有効であった.治療は,M1部fenestrationの動脈瘤には頸部clippingを,またA1部fenestrationの動脈瘤には,1例で窓形成を示す血管のうち1本を含んだclippingを,もう1例ではfenestrationの前後でtrappingを行った.fenestrationに合併した動脈瘤においても頸部clippingが理想的ではあるが,動脈瘤とfenestrationを示す血管の剥離の困難な場合には,穿通枝および側副血行の確認を行ったうえでfenestrationごとのclipping,trappingを検討すべきと考えた.