抄録
頸椎症,頸椎椎間板ヘルニアに対する手術法選択に関しては議論のあるところである.従来より行われてきた前方除圧固定術では腸骨採取に伴う合併症がみられ,多椎間病変に適応がなく,固定隣接椎間に起因する再手術がみられることなどが問題点として指摘されている.著者は前方除圧術を第一選択として行ってるが,4椎間以上の病変,黄色靭帯石灰化症の合併例に対しては後方アプローチを選択している.著者が前方アプローチとして採用している生体内分解吸収性スクリュー(ポリーL-乳酸)を用いた椎間板還納術や経椎体アプローチ法では手術椎間の可動性が温存されるため,手術隣接椎間に起因する再手術の発生頻度が減少する可能性があり,今後の検討が必要である.また本法では,頸部カラー等による頸部の外固定が必要ではない.