抄録
内頸動脈血栓内膜剥離術(CEA)は,evidenceに基づいた外科治療の代表的なものである.外科治療にあたっては,適応,外科解剖,手術手順,危険回避のためのさまざまな知識と工夫が必要である.頸動脈へのアプローチでは,的確な表面解剖の知識,頸動脈に至るまでの神経,血管の走行,機能に関して十分な知識が必要である.顕微鏡下に内膜剥離を行うが,内シャントチューブは,実際に入れるか入れないかは別として,その知識と技術を修得し,その扱いが完全にできるようにしておくことは,本手術を安全に行うためには必須である.CEAは,的確に行うことにより,高い安全性が保障されているが,逆に,少しでも適応,術前検査,手術手技,危険回避の知識に関して不十分な点があると,大きな合併症を引き起こすものである.危険回避の方法あるいは不測の事態に対する対処に関しても,十分な対策をsimulateしておくことが重要である.