脳神経外科ジャーナル
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脳血管撮影にて造影剤漏出を認めた急性特発性硬膜下血腫の1例
小柳 まゆ吉田 雄樹黒田 清司船山 雅之冨塚 信彦小笠原 邦昭小川 彰
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2004 年 13 巻 1 号 p. 48-53

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抄録

今回,脳血管撮影にて造影剤漏出の所見を認めた急性特発性硬膜下血腫の1例を経験したので報告する.症例は56歳,男性.突然の頭痛,嘔吐,意識障害を主訴とし搬送されたが,先行する頭部外傷は認めなかった.来院時CTにて右側頭頭頂部に急性硬膜下血腫を呈し,脳血管撮影を行うと血腫の辺縁部のanaular artery の分枝よりextravasationが認められた.検査後は血腫増大はなく,神経学的脱落症状も改善したため,保存的加療を行った.しかし第20病日に頭痛が出現し,CTにて慢性硬膜下血腫への移行が認められたため,ただちに出血点を術野に入れた開頭術にて血腫除去術を施行した.術中所見でanaular artery の分枝からの出血を確認し,凝固止血した.術後経過は良好にて,神経学的脱落症状なく37病日目に退院となった.われわれは急性特発性硬膜下血腫について文献報告を渉猟し,その特徴につき検討を行った.外傷歴のない急性硬膜下血腫例では,特発注の可能性を念頭に置いて治療にあたることが必要であると思われた.

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© 2004 日本脳神経外科コングレス
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