抄録
日本神経外傷学会は,1998〜2000年に全国10施設に収容された重症頭部外傷症例721例を集計し,「頭部外傷データバンク」を作成し,多方面からの分析を行った.本総説ではそのなかから,GCS8以下の602例を対象に「重症頭部外傷の治療」という観点から分析した結果を発表する。わが国ではいかなる脳の外傷性損傷に対し,どのような治療がなされており,その結果がいかなるものであったかを,特に手術例,非手術例の治療成績の比較という観点から分析した.また,それぞれの病態に対する手術方法や治療方針に各施設間の差があることが考えられるため,この項に関しても分析を加えた。また1991年米国より報告されたthe Traumatic Coma Data Bank との比較も行った.