抄録
転移性頭蓋骨腫瘍のMRI所見を4型8種類に分類した.悪性腫瘍のステージング目的の頭部MRIにおいて, 遠隔転移の頭蓋骨腫瘍と診断した80例を検討した.症例の49%は全身の多発骨転移を伴っていた.原発は乳癌(60%)が最も多く, 肺癌, 悪性リンパ腫, 前立腺癌が続いた.円蓋部の局所骨内型は無症状が多く, び漫浸潤型は硬膜浸潤, 頭蓋内圧亢進症状を呈する場合があった.頭蓋底び漫浸潤型は, 脳神経麻痺症状で発症することがあった.頭蓋骨腫瘍は, 部位, 髄膜/静脈洞/脳/脳神経との関係を評価する必要があり, 従来のCT, 骨シンチグラムなどよりも, MRI所見の分析は適切な診断・治療に寄与するものと考えられた.