脳神経外科ジャーナル
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錐体部内頸動脈瘤破裂により生じたと考えられた内頸動脈-海綿静脈洞瘻の1例
伏原 豪司安達 淳一石原 正一郎佐藤 章松谷 雅生
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2005 年 14 巻 10 号 p. 628-633

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抄録
症例は55歳の女性で, 右眼球突出, 右眼球結膜充血を主訴に当科を受診した.頭部MRIおよび脳血管撮影よりhigh flowの右内頸動脈-海綿静脈洞瘻(carotid cavernous fistula; CCF)と診断, 脳血管内塞栓術を試みた.術中所見より右内頸動脈錐体部に動脈瘤破裂が疑われるshuntを認め, この部位より海綿静脈洞後方部に静脈洞の拡張を伴っており, 最小範囲でこのshuntを遮断するためにさまざまなコイルを使用して塞栓することにより, 経動脈的静脈閉塞を行った.術直後より症状は改善し, 約1年後には症状はほぼ完全に消失した.1度の血管内手術のみで瘻孔は完全に閉塞し, 脳血管内手術後約18カ月経過した現在でも症状の再発はみられていない.海綿静脈洞部内頸動脈瘤破裂によるCCFは稀な病態である.今回の症例のようにhigh flowでshunt量が多いものでは自然治癒は期待できず, 積極的な血管内治療により良好な結果が得られる可能性がある.
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© 2005 日本脳神経外科コングレス

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