脳神経外科ジャーナル
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悪性星細胞腫の治療成績の変遷と手術療法の意義
隈部 俊宏高井 良尋嘉山 孝正冨永 悌二
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2005 年 14 巻 3 号 p. 132-137

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抄録

181例のanaplastic astrocytoma(AA)と189例のglioblastoma(GB)に関して, 1982∿1988年までを「MR導入前期」, 1989∿1996年を「MR導入期」, 1997年以降を「脳機能マッピング期」, GBに関してはさらに2000年以降を別にして4期に分類し, 治療成績の変遷を検討した.さらにAAとGB別々に60歳以上の「高齢者群」と60歳未満の「若年者群」に分類して, それぞれの群での治療時期, 手術摘出度による生存中央値(median survival time ; MST)を検討した.この結果, 「高齢者群」の予後は「若年者群」と比較して有意に不良であったが, どちらの年齢群においてもAA, GBともに時代変遷に伴って治療成績は改善しており, 全摘出した症例の予後は有意に良好であった.本統計は後ろ向き検討であるため, 診断基準, 手術摘出度の評価および治療内容が画一ではないが, AA, GBともに時代変遷に伴って治療成績は改善傾向にあり, 全摘出した症例の予後は有意に良好であったといえる.

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© 2005 日本脳神経外科コングレス
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