症例は79歳男性で, 突然のめまいにて発症した.単純CTで右小脳橋角部に高吸収域を含む腫瘤を認め, MRI上橋下部より延髄を圧迫している所見より下位脳神経鞘腫からの腫瘍内出血を疑った.開頭術を施行したところ, 延髄根由来の副神経鞘腫であった.この部の腫瘍の多くは前庭神経鞘腫であるが, 神経症状だけでは下位脳神経由来の神経鞘腫との鑑別がつかないことも多い.非常に稀ではあるが, 開頭術を行うにあたり, 鑑別診断の1つとして副神経鞘腫の可能性についても考慮すべきと思われた.また出血を伴った副神経鞘腫の報告はほとんどなく, 非常に稀な症例であり, 病理所見および出血機序についても若干の文献的考察を加え報告した.