脳神経外科ジャーナル
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脳ドックにて発見された無症候性白質病変 : その統計学的検討と病態解析
竹内 東太郎小泉 仁一渡邊 一夫
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2005 年 14 巻 9 号 p. 559-565

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抄録

対象・検索方法: 対象は脳ドック受診者2160名の中で無症候性白質病変(AL)を認めた177名である.対象に対し(1)発見率と年齢的特徴, (2)危険因子合併率, (3)血液凝固線溶系検査, (4)脳室計測, (5)高次脳機能検査, (6)脳血流量測定(CBF)glycerol負荷試験(GTT)による脳血流量の増加率(IR), (7)血清α-1-アンチキモトリプシン(α-1-ACT), (8)脳動静脈酸素濃度較差値(c-AVDO_2)について検討した.(2)〜(8)は頭蓋内病変を認めないコントロール群50名と比較検討した.結果・結論: (1)ALは脳ドック受診者の8.2%に認められ, 平均年齢は有意に高齢で加齢とともに増加する.(2)危険因子は高血圧, 高脂血症, 無症候性脳梗塞, 脳動脈硬化である.(3)血液粘性と凝固・線溶機能は亢進しているが, 血小板機能は維持されている.(4)脳室・高次脳機能検査はコントロール群と有意差を認めない.(5)CBFの減少があり, GTTでは血管予備能(IR)が低下している.(6)α-1-ACTの増加がなくc-AVDO_2が有意に増加している事実から, ALの病態は"脳動脈硬化を基盤とし血液粘性および凝固・線溶機能亢進を伴った脳虚血に基づく代償期の脳血流量減少である"と考えられる.

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© 2005 日本脳神経外科コングレス
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