2006 年 15 巻 12 号 p. 800-806
われわれは,クモ膜下出血症例に対しては急性期開頭ネッククリッピング術を基本方針とし,1997年以後は,急性期直達手術が不適と判断された症例には,急性期コイル塞栓術も積極的に行ってきた.結果的に急性期治療が行われた症例の63%に直達手術が,37%にコイル塞栓術が選択されたが,これにより塞栓術導入前に比べて,H&K grade 4〜5の重症例,70歳以上の高齢者,脳底動脈瘤症例に対する急性期治療の割合が有意に増加し,転帰も有意に改善した.今後は,各症例の重症度,年齢,動脈瘤の性状や数などを個々に評価し,治療効果の確実性を長所とする直達手術と,低侵襲を長所とするコイル塞栓術とを適切に使い分けることが重要である.