脳神経外科ジャーナル
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水頭症におけるRIを用いた髄液吸収動態の検討
眞島 静赤井 文治種子田 護
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2007 年 16 巻 5 号 p. 410-416

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抄録

特発性正常圧水頭症(iNPH)ならびにクモ膜下出血後水頭症(sNPH)に対して,RI脳槽・脊髄腔シンチグラフィを行い,同時に血液中^<111>ln量を経時的に測定し,髄液の吸収動態を検討した.髄液循環が正常と考えられる群では,血液中^<111>ln値は12時間後にピークとなり,その後減少する。一方iNPHでは,24時間後も血液中門^<111>ln値は上昇し,排泄の遅延を示し,さらに^<111>lnが頭蓋内に到達するまでにピークを持つことも認められ,脊髄レベルでの血液中への移行方進も想定された.sNPHでは,^<111>lnは大脳穹窿部に止まり排出遅延が認められたが,iNPHと異なり,後頭蓋での排出の亢進があると考えられる^<111>ln値の早期ピークを示した.これらの特徴を示すものは,髄液シャント術が有効であった.血液中へのトレーサーの排出を検討するこの方法は,髄液排出動態に対する新たな知見をもたらし,予後の予測をも可能とするものである.

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© 2007 日本脳神経外科コングレス
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