特発性正常圧水頭症(iNPH)ならびにクモ膜下出血後水頭症(sNPH)に対して,RI脳槽・脊髄腔シンチグラフィを行い,同時に血液中^<111>ln量を経時的に測定し,髄液の吸収動態を検討した.髄液循環が正常と考えられる群では,血液中^<111>ln値は12時間後にピークとなり,その後減少する。一方iNPHでは,24時間後も血液中門^<111>ln値は上昇し,排泄の遅延を示し,さらに^<111>lnが頭蓋内に到達するまでにピークを持つことも認められ,脊髄レベルでの血液中への移行方進も想定された.sNPHでは,^<111>lnは大脳穹窿部に止まり排出遅延が認められたが,iNPHと異なり,後頭蓋での排出の亢進があると考えられる^<111>ln値の早期ピークを示した.これらの特徴を示すものは,髄液シャント術が有効であった.血液中へのトレーサーの排出を検討するこの方法は,髄液排出動態に対する新たな知見をもたらし,予後の予測をも可能とするものである.