脳神経外科ジャーナル
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ゴアテックス^[○!R]人工硬膜使用例に生じた開頭術後感染症の治療
吉岡 伸高富永 良子
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2007 年 16 巻 7 号 p. 555-560

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抄録

ゴアテックス^[○!R]人工硬膜が原因と考えられる開頭術後の感染症を6例経験し,その治療法について検討を行った.全例で人工硬膜と骨弁を除去した.6例中3例は大腿筋膜で硬膜再建を行ったが,このうちの1例で術後感染を生じ,移植筋膜を除去した.残りの3例では硬膜再建は行わなかった.また,6例中の5例でセラタイト^[○!R]こよる二期的頭蓋骨形成術を行った全例で感染は治癒し,1例で頭蓋骨形成術後に皮下髄液貯留を生じた以外には重篤な合併症は生じなかった.結論として,ゴアテックス^[○!R]人工硬膜が原因と考えられる開頭術後の感染症では,まずゴアテックス^[○!R]人工硬膜と骨弁の除去が必要である.またゴアテックス^[○!R]人工硬膜下に形成された被膜のため,頭蓋骨形成術を同時に行わないかぎり髄液の持続的な漏れはなく,硬膜再建の必要性はない.また硬膜再建を行わなかった場合の二期的頭蓋骨形成術は,注意深く行えば,それほど困難な手技ではない.

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© 2007 日本脳神経外科コングレス
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