脳神経外科ジャーナル
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小児脳動静脈奇形に対するガンマナイフ治療
周藤 高松永 成生末永 潤猪森 茂雄藤野 英世
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2008 年 17 巻 2 号 p. 130-136

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抄録
当科にてガンマナイフを行った小児脳動静脈奇形の治療成績を検討した.男児15例,女児28例の43名,平均年齢は11.7歳,フォローアップ期間は24〜144カ月(中央値: 49カ月)であった.照射時のナイダス体積は平均4.5ml,辺縁線量は平均19.9Gy,Spetzler & Martin (S-M) gradeはI: 11例,II: 13例,III: 14例,IV: 5例であった.照射後3年での累積完全閉塞率は50.0%,5年で80%であった.ナイダス体積別の閉塞率は5ml未満が82.1%,5〜10mlが55.6%,10ml以上が50%であった.S-M gradeと閉塞率に相関はみられず,多変量解析において辺縁線量のみが完全閉塞に関与する傾向にあったが,有意差を得るには至らなかった.経過中,MRI T2強調画像上の高信号域出現は,43例中14例で照射後平均14.5カ月に確認され,この高信号域消失までは平均9.5カ月を要した.うち4例が症候性で運動麻痺が3例,痙攣が1例に生じたが,いずれも一過性であった.周辺脳浮腫を生じた14例のうち8例(57.1%)で一時的にステロイドを使用した.ガンマナイフ後の出血は3例(7.0%)に生じたが,嚢胞形成などの長期合併症はみられず,永続的な神経学的合併症も生じなかった.われわれの経験から,S-M gradeが低く安全な外科的摘出が十分に期待しうる場合には,小児例においても直達手術のほうが望ましいと考える.一方,eloquent areaや深部に存在するナイダス体積が5ml以下の病変にはきわめて有効な治療手段であり,ガンマナイフによる積極的治療を考慮するべきである.
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© 2008 日本脳神経外科コングレス

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